
「M・A・C」は新たなグローバル・クリエイティブ・ディレクターにクリエイターのニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)を任命すると発表した。5月19 日付で就任する。
イタリア人の父と日本人の母を持つフォルミケッティ氏は、静岡県出身。英ロンドンでファッションを学んだ。ファッションデザイナーとして、10年に「ミュグレー(MUGLER)」のクリエイティブディレクターに任命された。退任後の13〜17年に「ディーゼル(DIESEL)」のアーティスティック・ディレクターを務め、「ユニクロ(UNIQLO)」のファッションディレクターとしても活躍している。その間、自身のブランド「ニコパンダ(NICOPANDA)」を設立し、精力的にビジネスを拡大している。
また、日本版「ヴォーグ オム(VOGUE HOMME)」で08年にディレクターを務めたのをはじめ、「アナザーマガジン(AnOther Magazine)」「ハーパース バザー(Harper’s BAZAAR)」米国版など多くの雑誌で作品を手がけ、最近では3月に「Vマガジン(V Magazine)」のファッション・ディレクターに就任した。そのほか、レディー・ガガ(Lady Gaga)のクリエイティブ・ディレクターとしてスタイリングやMVのディレクションを担当。MTVビデオ・ミュージック・アワードでの生肉ドレスやロブスターの帽子は大きな話題を集めた。
フォルミケッティ新グローバル・クリエイティブ・ディレクターは声明で、「『M・A・C』は常に文化を前に進める人々やコミュニティーを支持してきた象徴的なブランドだ。これまで“ニコパンダ”コレクションや“ビバ グラム”キャンペーンでコラボしてきた。戻ってくることができて、私のビジョンをブランドの次の章に注げることに興奮している。世界は創造性と美、つながりを求めている。魔法のような方法でそれを実現するのを待ちきれない」とコメントした。
エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES、以下ELC)のジェーン・ハーマーク・ハディス(Jane Hrtzmark Hudis)=チーフ・ブランド・オフィサーは起用について、「ニコラの就任はブランドと企業にとって大きな前進だ。『M・A・C』が次の成長フェーズへ進むにあたり、さらなる高みへ導くビジョンと大胆な創造性をもたらしてくれるだろう。われわれは彼のようなハイレベルなクリエイティブの才能を迎えることに興奮している」と述べた。
ELCの2025年1〜3月期(第3四半期)のメイクアップカテゴリーの売上高は、前年同期9.1%減の10億3500万ドル(約1500億円)だった。また、4月に投資銀行パイパー・サンドラー(PIPER SANDLER)が発表した 第49回ティーン調査(半期)によると、メイクアップカテゴリーで「M・A・C」はトップ20から完全に脱落するなど低迷している。