エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)のステファン・ド・ラ・ファヴリー(Stephane de La Faverie)社長兼最高経営責任者(CEO)は2月4日、4月1日付の新しい組織構造と経営陣を発表した。過去1年間で株価が45%下落した同社の再建を目指し、「ビューティ・リイマジンド(Beauty Re-Imagined)」ビジョンと行動計画を推進する。2025年度第2四半期の売上高が前年同期比6%減の40億400万ドル(約6046億400万円)と低迷したことを受け、7000人の人員削減計画を発表するとともに上層部の人事異動も進めている。
アジアでのトラベルリテール事業の課題や、中国と韓国における消費者心理の冷え込み、地政学的不確実性の高まりを背景に同社は従来の見通しを取り下げ、新たな通期見通しの提示を控えた。ファヴリーCEOは、「売上高を回復基調に戻し、今後数年間で営業利益率も2ケタ増を達成する」と述べている。
戦略の方針
「ビューティ・リイマジンド」ビジョンの鍵は、プレステージビューティにおける成長のために、高成長のチャネルや市場、メディア、価格帯に拡大することだ。この9カ月間で「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「クリニーク(CLINIQUE)」「オーディナリー(THE ORDINARY)」などの主要ブランドをアマゾンで発売。ヨーロッパでは、薬局チャネルでスキンケアカテゴリーの強みを発揮する。
戦略は、イノベーションの強化や広告費の増加、従業員の働き方改革を含む。またリストラで5800〜7000人のポジションの削減計画を発表。これはすでに発表されている3000人を含み、27年度に完了する見込みだ。
ブランド売却を検討か
ELCはこれに先立ちブランドポートフォリオの再設計を目指しコンサルタント会社エバーコア(EVERCORE)を雇ったと報じられ、「アヴェダ(AVEDA)」「バンブル アンド バンブル(BUMBLE AND BUMBLE)」「スマッシュボックス(SMASHBOX)」「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「グラムグロー(GLAMGLOW)」を売却する可能性があるとの憶測が広がっている。直近のM&Aの機会についてファヴリーCEOは、「貸借対照表のレバレッジ解消が最優先事項だ」と強調している。
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