
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月14日号からの抜粋です。)
伊藤:近年アニメとブランドのコラボのニュースが多く、コラボアイテムのクオリティーも上がっていると感じていました。前はキャラクターをプリントしたようなものが多かったですが、最近はそのアニメの世界観そのものをモノ作りに落とし込もうとしていて、ファンがSNS上で盛り上がったりしています。個人的にアニメが好きなこともあり、特集を企画しました。
本橋:伊藤さんが「好き!」と声高に言えるようになったのも2010年代後半以降の流れで、それまでのオタクはニッチなイメージでしたよね。最近ではラグジュアリーブランドも普通にコラボするようになって、価値観の変化を象徴しているように思います。何が一番印象に残りましたか?
伊藤:東映アニメーションの鷲尾天執行役員兼エグゼクティブプロデューサーにインタビューをしたのですが、「コラボ相手には思う存分やってほしい」と語っていたのが印象的でした。「ファッションの力を借りたいので、ブランド側のセンスにお任せした」と。今回の特集で、アニメとコラボしたブランドや雑誌、商業施設などを取材しましたが、どこも「作品の世界観が第一」と、ファンの解釈をモノ作りに落とし込むのに一生懸命でした。ファッションとアニメ、互いの力を信じてコラボが実現しているのは、発見でした。
作り手と受け手の解釈の一致が大事
本橋:アニメ側と企画の間に立つコラボレーターも取材しましたが、アダストリアのブランドとの間に入るコラボ担当や松屋の企画展担当は、いろんな作品を満遍なく見ていて、バランス感覚に優れているからこそ、幅広い層にリーチできていると感じました。一方、ビームスの担当者はアニメの世界にどっぷり浸かっていて、通好みにコラボ商品を作っていました。どちらも作り手と受け手の解釈の一致が起こることで、互いにハッピーになりますね。
伊藤:解釈は人によってさまざまですが、鷲尾さんは「何かを作る時は、驚きがないといけない。それがあれば、解釈うんぬんにならない」と話していて、「なるほど!」と思いました。
本橋:この特集も作り手と受け手の解釈の一致や驚きがあるといいですね。