アニメの受け取られ方が変化している。“オタク文化”とやゆされていた時代は過ぎ去り、今では、日本政府が「クールジャパン」戦略の中心と位置づけるほどに、文字通り“クール(かっこいい)”な文化とみなされている。この変化はなぜ起こったのか?エンタメ社会学者の中山淳雄氏に話を聞く。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月14日号からの抜粋です)
PROFILE: 中山淳雄/リ・エンターテイメント取締役社長兼エンタメ社会学者

CHANGE 1:
世界のアニメになるまで
アニメは、そのときどきの視聴方法によってストーリーを変えてきました。例えば1990年代初頭まではテレビ放送が中心。約100万人が視聴することを想定し、大衆受けするストーリーを重宝していました。69年放送開始の「サザエさん」(フジテレビ系列)や79年開始の「ドラえもん」(テレビ朝日系列)がその良い例です。
2000年代からは、コアでマニアックな作品が増えていきます。これはDVDの普及によるもの。DVDは3万本売れればヒットといわれており、必ずしも大衆を相手取る必要はありません。この時代の代表作は、06年の「涼宮ハルヒの憂鬱」(独立UHFなど)や09年の「けいおん!」(TBS系列)など。「アニメは一部の人のもの」という認識が定着しました。
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