教員の労働超過などが問題となる中で、学校部活動を地域や企業に委ねる動きが進みつつある。2024年9月に、スポーツデータバンク、三井住友海上火災保険、日本郵政の3社は、部活動の地域連携・地域移行を支援する「ブカツ・サポート・コンソーシアム」を立ち上げた。この度、同コンソーシアムに、ミズノなど4社が会員企業として参画した。
「ミズノのビジネスにとって、特に国内では部活動は非常に重要な位置を占める。しかし近年は少子化も著しく、危機感を覚えている。社内で部活動支援のためのプロジェクトも立ち上げてきたが、自社だけでは(指導者不足や財源確保、活動場所確保などの)この大きな課題に対応できない」と、ミズノの長沼秀一執行役員は参画意図についてコメント。ミズノの売上高2297億円(24年3月期)のうち、国内売上高は約61%。「そのうちの3〜4割が部活動関連の売り上げ」という。「部活動が行われなくなり、子どもたちが多様なスポーツを経験する機会がなくなってしまうことが一番問題。アスリートなどとして飛躍する可能性を秘めた人の芽をつんでしまうことになる」。
ミズノはコンソーシアムを通じ、具体的には、①スポーツ用品の販売、②所属アスリートやOB・OGらによる指導者向け研修やスポーツ体験イベントの企画、③自治体などから依頼されて管理運営を行っているスポーツ施設の活用検討、の3軸で自治体を支援する。特に、本業と直結する①については、「これまでもチームユニホームの製作などを手掛けてきたが、デザイン面などをサポートして、手間なくユニホーム等の発注ができる仕組みを新たに立ち上げる」。②については、既に社内で所属アスリートらがバレーボールやサッカー、水泳など各種スポーツを指導する“ビクトリークリニック”を実施しており、その仕組みを応用する。
今回、ミズノ以外でコンソーシアムに参画した企業は、スポーツクラブ運営などを行うルネサンス、フィットネススクールや各種運動クラブ向けのデジタルソリューションを提供しているhacomono、教育・文化交流事業にも注力するTOPPANホールディングスの4社。各社、自社の得意とする領域を生かし、自治体をサポートする。
「ブカツ・サポート・コンソーシアム」では24年9月の設立直後に、沖縄県教育委員会との連携協定を発表し、同県の宜野湾市や宜野座村など6自治体で実証を重ねている。その中で、宜野座村ではコンソーシアムのメニューを使って「JSPO公認スポーツコーチングリーダー」資格を取得した郵便局社員が、バドミントンの地域クラブの指導者として活動するなどしているという。「3月中に、他にもいくつかの自治体との連携協定の締結を予定する。また、将来的には運動部だけでなく、文化部の活動にもコンソーシアムの対象を広げていく」(石塚大輔スポーツデータバンク社長)。