春が短くなり、春物衣料品の実売も短期決戦となる中で、春コートの主役だったトレンチコートに異変が起きている。
三陽商会のコート専業ブランド「サンヨーコート(SANYOCOAT)」は、素材と縫製にこだわった日本製“100年コート”から、初のジレタイプの新商品“100年コート トレンチジレモデル”を3月上旬に発売した。「サンヨーコート」を展開する6店舗、同社公式EC「サンヨー オンラインストア」などで取り扱っている。
“100年コート トレンチジレモデル”は、本格的なトレンチコートの特徴を残しつつ、カジュアルな着こなしもできるバランスを追求した。中空糸を織り交ぜた独自開発の生地を採用し、既存の“100年コート”の生地と比較して約30%軽量化。さらにエポレット(肩章)をはじめとする仕様を省くことで、軽さと着やすさを両立し、春から初夏にコートの代わりに気軽に羽織れるよう、軽やかに仕上げた。生産は他の“100年コート”同様に、コート専業56年の自社工場「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」(青森県七戸町)で仕立てている。
短期決戦の春へ
コート戦略を最適化
三陽商会は、気候変動と実需型の消費者ニーズに対応するため、昨春夏から新たな商品開発・販売計画を推進している。春物の需要期間については、従来の3カ月(3〜5月)から2カ月(3〜4月)へと考え方を改め、短期決戦のコート戦略を展開する。春物コートの生産数は全社で抑制する一方、ジレ、ショートコート、ブルゾンといった羽織りアイテムの品揃えを強化。軽量素材の採用や仕様の見直しによる商品自体の軽量化も進めている。
ショート丈の好評受け開発
昨秋冬には、温暖化傾向を踏まえて、“100年コート”初のショート丈モデル(9万9000円)を投入。当初の計画を上回る販売実績となるなど好評だった。これに手応えを得て、今春のジレモデル開発に至ったという。