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ユナイテッドアローズ、新広告に「若手歌舞伎役者」を起用した理由 仕掛け人に聞く

ユナイテッドアローズ(UA)は、次世代に向けたコミュニケーションの第2弾を2月末から開始した。今回は“光”をテーマに、歌舞伎役者の片岡千之助氏(25)と現代アーティストの森本啓太氏(35)を起用。昨年秋の第1弾に続き、若い世代へのアプローチを強める。仕掛け人である松本真哉・執行役員チーフクリエイティブオフィサー(CCO)は「(第1弾以上に)明確に若い人たちに向けたメッセージを意識した」と話す。

同社は2026年3月期を最終年度にした中期経営計画の柱の一つとして「企業ブランドのリブランディング」を掲げた。1989年の創業から36年が過ぎ、顧客の高齢化が課題として浮上する。UAに対してロイヤリティの高い40代の主要顧客を大切にしつつ、20代の次世代顧客との接点を増やす。近年は新規ブランド開発においても「アティセッション(ATTISESSION)」「シテン(CITEN)」などの若い世代に向けた業態を強化している。4月からは韓国で若い世代の支持を集めるアパレルと雑貨のセレクトショップ「ナイスウェザー(NICE WEATHER)」の国内展開もスタートする。

松本CCOは「若い世代の支持はファッション企業としての生命線。コンサバな大人のファッションに代表される一面的なUAではなく、年齢もテイストも様々な多面的なUAの魅力を伝えたい」と新しいコミュニケーションの意義を語る。

第1弾は“異次元リミックス”をテーマに中条あゆみ、原口沙輔、リカちゃん、ABEchanが手掛けたオリジナル3DCGキャラクターを起用し、UAの企業イメージを覆すカオスなビジュアルで話題を集めた。第2弾はUA本来の美意識を新鮮なフレッシュなキャストと演出で表現した。幻想的で不思議な魅力を持つ森本さんの作品世界に、若手の歌舞伎役者として注目を集める千之助さんをキャスティングした。着物をまとい、凛としたたたずまいの千之助さん。UAの服を着て絵画の中の人物になる千之助さん。いずれも“光”の演出でユニークなビジュアルに仕上がっている。

松本CCOは撮影現場では千之助さんの落差に驚いたという。「カジュアルな普段着で撮影現場に現れた千之助さんは、本当に今どきの若者といった雰囲気で、実年齢よりも若く見えるくらいでした。でも和服に着替えて、舞を踊っていただくと、その場の空気がピンと張り詰める。一瞬で撮影現場が彼に支配されたのです。森本さんの表現と相俟って、想像以上のものが完成しました」。

すでに雑誌やデジタル広告での露出がされており、主要ターミナルでの大型広告も計画している。「企業ブランドのリブランディング」は一朝一夕で達成できるものではないが、「“UAが変わろうとしている”というメッセージは届いているのではないか」と手応えを感じている。

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