ファッション

セレブたちの“ネイキッド”ドレス変遷 火付け役のマリリン・モンローから賛否両論のビアンカ・センソリまで

2025年もセレブたちが魅せる“ネイキッド”ドレスが注目を集めている。2月2日(現地時間)にロサンゼルスで開催された第67回グラミー賞には、歌手のYeことカニエ・ウエスト(Kanye West)の妻ビアンカ・センソリ(Bianca Censori)が完全シースルーのミニドレスをまとい登場。彼女の衝撃的なルックは一躍話題となり、一時グーグル(Google)で最も検索された人物に浮上した。

実は、アバンギャルドの最終形態とも言える“ネイキッド”ドレスには長い歴史がある。今から100年前の1925年に公開された映画「My Lady of Whims(原題)」や36年に公開された「浮気名優」には、すでに衣装としてシースルーが取り入れられていた。しかし、現在トレンドとなっている“ネイキッド”ドレスの先駆者は俳優マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)だろう。ジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)元大統領の誕生会で、彼女がパフォーマンス衣装としてシースルードレスを着用したことで、“ネイキッド”ドレスはその知名度を一瞬にして高めたのだ。

1962年のこの出来事を皮切りに、64年にデザイナーのルディ・ガーンライヒ(Rudi Gernreich)が露出度の高いモノキニ(前から見るとワンピース、後ろから見るとビキニに見える水着)を、66年にイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)が初のシアールックを発表。69年には歌手で俳優のバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)がオスカー賞の授賞式にアーノルド・スカージ(Arnold Scaasi)のシースルーパンツスーツで、同じく俳優のジェーン・バーキン(Jane Birkin)が映画「スローガン」のプレミアに黒のシースルーミニドレスで登場したことで、“ネイキッド”ドレスのファッション性が確立された。

モンローが“ネイキッド”ドレス旋風を巻き起こしてから数十年経った今も、この衝撃的なルックの不思議な魅力は衰えるところを知らないようだ。2023年には、「シャネル(CHANEL)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ディオン リー(DION LEE)」「ジェイソン ウー(JASON WU)」「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ブランドン マックスウェル(BRANDON MAXWELL)」など名だたるブランドがシアー素材を積極的に取り入れたコレクションを次々と展開。24年にはハリウッドのレッドカーペットでも俳優のフローレンス・ピュー(Florence Pugh)やエマ・コリン(Emma Corin)、マディソン・ビアー(Madison Beer)らが“ネイキッド”ルックを披露し、シアーに新たな解釈をもたらした。

セレブたちの“ネイキッド”ルック変遷

1962年 マリリン・モンロー

ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたジョン・F・ケネディ元大統領の誕生会でパフォーマンスを行ったマリリン・モンローが着用したのは、1950年代にジャン=ルイ・シェレル(Jean-Louis Scherrer)が俳優のマレーネ・ディートリヒ(Marlene Dietrich)のために製作したドレスに着想したシースルードレス。

1969年 バーブラ・ストライサンド

映画「ファニー・ガール」でアカデミー主演女優賞を受賞したバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand )は、アーノルド・スカージ(Arnold Scaasi)のシースルーパンツスーツを着用。当時としては露出度の高かったこのルックは賛否両論を巻き起こした。

1969年 ジェーン・バーキン

ジェーン・バーキンは、映画「スローガン」のパリプレミアにブラックのロングスリープシアーミニドレスを着用して登場した。

1974年 シェール

歌手兼俳優のシェール(Cher)は、“ハリウッド黄金時代のロマンチック&グラマラスデザイン”がテーマのメットガラ(Met Gala)に、デザイナーのボブ・マッキー(Bob Mackie)が手掛けたルックで登場。彼女は1975年に発行された米「タイム マガジン(Time Magazine)」でも同ルックを着用している。

1998年 ローズ・マッゴーワン

俳優のローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)はMTVビデオ・ミュージック・アワードのレッドカーペットに、ブラックのメッシュドレスで登場した。

2014年 リアーナ

歌手のリアーナ(Rihanna)はCFDAアワード(CFDA Awards)に、「アダム セルマン(ADAM SELMAN)」の23万個の「スワロフスキー(SWAROVSKI)」のクリスタルが施されたドレスで登場した。

2015年 ビヨンセ

歌手のビヨンセ(Beyonce)は“鏡越しに見る中国”がテーマのメットガラに、「ジバンシィ(GIVENCHY)」のシアードレスで登場した。

2022年 キム・カーダシアン

キム・カーダシアン(Kim Kardashian)は、ジョン・F・ケネディ元大統領の誕生日会でモンローが着用したドレスの現物をメットガラで着用。22年の時点で本ドレスの価値は1000万ドル(約15億2422万円)だった。

2023年 シアラ

歌手のシアラ(Ciara)は「デュンダス(DUNDAS)」2023-24年秋冬コレクションから、ホルターネックシースルードレスを着用し、米「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」主催のアカデミー賞アフターパーティーに参加した。

2023年 フローレンス・ピュー

フローレンス・ピューは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」2023-24年秋冬オートクチュール・コレクションに、同コレクションからラベンダーのシアードレスを着用し来場した。

2024年 ベラ・ハディッド

モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)はカンヌ国際映画祭に、「サンローラン(SAINT LAURENT)」2024-25年秋冬コレクションのシースルーミニドレスを着用し登場した。

2024年 マイリー・サイラス

マイリー・サイラス(Miley Cyrus)は第66回グラミー賞に、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の安全ピンドレスで登場した。

2025年 ビアンカ・センソリ

モデルのビアンカ・センソリは、2月2日に開催されたばかりの第67回グラミー賞に完全シースルーのミニドレスでカニエとともに登場。2人は授賞式には出席せず、レッドカーペットを歩き会場を後にした。

CHANEL x ファッションの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

デムナの「グッチ」は賛否両論? 「ジバンシィ」「トム フォード」「ドリス」も注目の2025-26年パリコレ特集 【WWDJAPAN BEAUTY付録:「第8回WWDBEAUTY ヘアデザイナーズコンテスト」結果発表!】

3月24日発売の「WWDJAPAN」は、2025-26年秋冬パリ・ファッション・ウイーク特集をお送りします。デザイナーのシャッフル人事が続く中、今シーズンは「ジバンシィ(GIVENCHY)」がサラ・バートン(Sarah Burton)で、「トム フォード(TOM FORD)」がハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)で、そして「ドリス ヴァン ノッテン(DIRES VAN NOT…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。