newn(東京都、中川綾太郎社長)は、小柄女性向けアパレルブランド「コヒナ(COHINA)」の事業をサザビーリーグに9月2日付で譲渡する。取引金額は非公開。
「コヒナ」は、自身も148cmと小柄な田中絢子ディレクターが、身長150cm前後の女性に向けて2018年に立ち上げたブランド。運営元のnewnの中川社長は連続起業家として知られ、過去には女性向けキュレーションメディア「メリー(MERY)」を運営していたペロリを創業、2017年4月に設立したnewnでも「コヒナ」のほかコスメブランド「リーカ(RIHKA)」や「ミスターチーズケーキ(MR.CHEESE CAKE)」などをヒットさせた。
「コヒナ」はD2Cブランドならではの小回りを生かし、体型などの「悩み解決型」ブランドの先駆けとしてSNSやECを中心に認知度を高めた。21年時点で月商は1億円超に到達。22年にはモード志向の派生ブランド「エストラータ(ŚTRATA)」を立ち上げた。 24年8月時点でブランドのインスタフォロワーは22万人を超えた。
D2Cアパレルブームは一服
さらなる成長に必要な変化
newnは直近の「コヒナ」の業績について「非公開」としているが、コロナ前後の一時期に比べれば、D2Cブランド市場のバブル的活況は一服した感がある。さらなるステップアップには、ブランドビジネスやリアル店舗運営のノウハウが必要であり、まさにそれらを得意分野とするサザビーリーグへの譲渡がタイミング的にもベストと判断したようだ。中川社長は、「よりお客さまに愛され、社会にインパクトを生み出せる価値あるブランドに成長していくため、ベストオーナーに譲渡することを決めた」とコメントを出した。
「コヒナ」は今後、サザビーリーグの新会社EGBA(イー・ジー・ビー・エー)が運営する。トップには、サザビーリーグの執行役員兼エストネーション会長の帰山元成氏が就く。これまで「メゾンスペシャル(MAISON SPECIAL)」をはじめとした重要プロジェクトに携わってきたキーマンだ。同氏は「『コヒナ』が培ってきたファンマーケティングやデジタルマーケティングのノウハウと、サザビーリーグが持つブランディング力により、更なる事業成長が期待できる」とみる。
田中ディレクターもサザビーリーグに転籍し、引き続きブランド運営の手綱を握る。「これまでファンの皆さんと一緒に培ってきた『コヒナ』らしさをより強固なものにしながら、 新しい価値を創造し、世界全体に拡大していきたい」(田中ディレクター)と意気込む。