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【ハラカド見どころ】銭湯、雑誌ライブラリー、業界人御用達バー「カスバ」のコーナーショップまで

東急不動産による商業施設「東急プラザ原宿『ハラカド』(以下、ハラカド)」が4月17日に開業する。地下1階から屋上テラスまでの全9フロアで構成し、飲食や物販、美容室や企業のショールーム、会員制のコワーキングスペースなど多彩なジャンルの75店舗が入った。「ここでしかできない体験」に価値を置き「創造施設」を掲げる「ハラカド」の主なテナントを紹介する。

日本酒ブランド「ヒネモス」が商業施設内初出店

1階はカンロ飴や「ピュレグミ」などを製造するカンロのキャンディーショップや、クラフトチョコレートの「リタルダンド トウキョウ(RIT. TOKYO)」など、ギフトにちょうどいいスイーツやコスメ、雑貨などがそろう。エントランス付近の日本酒ブランド「ヒネモス(HINEMOS)」はこのたび、商業施設内に初めて出店し「ハラカド」から日本酒文化を発信する。「ヒネモス」の日本酒は、創業300年以上の歴史を持つ森山酒造が手掛ける。銘柄には「SHICHIJI」や「HACHIJI」など時間が付けられており、たとえば「SHICHIJI」はディナーの始まりに合うスパークリングで、アルコール度数は5度と低め。夜も深まる「SANJI」は、スモーキーな香りの熟成酒で深遠な会話を引き立てる仕上がりといった具合におすすめの時間帯を指している。担当者は「世界の共通言語である『時間』をコンセプトにすることで、多くの人が気軽に日本酒を楽しめるようになってほしい」と立ち上げ背景を語る。夕方の6時から朝の5時までの時間に合わせた12銘柄をそろえ、店内では全て無料で試飲できる。

原宿文化に欠かせない雑誌約3000冊が並ぶライブラリー

2階は「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」のデザイナー坂部三樹郎によるシューズをメインとした業態「スリー トレジャーズ(THREE TREASURES)」やD2Cブランド「グラムリップス(GLAM LIPS)」などが初の直営店を出したほか、フロア中央ではアダストリアの「ハレ(HARE)」が1年間の期間限定で出店。「ハレ」は「和」をテーマに、廃棄予定の着物をリサイクルした「サムライ アロハ(SAMURAI ALOHA」や、枯盆栽を用いたアート作品を展開する「トウフ トーキョー(TOUFU TOKYO)」とのコラボ商品を限定で販売し、インバウンド客を狙う。

同フロアでは「ハラカド」ならではのコンテンツの1つとして、日本出版販売と子会社のひらくが雑誌ライブラリー「カバー(COVER)」を運営する。「アンアン」や「ポパイ」「流行通信」「少年ジャンプ」「リボン」など、年代やジャンルは問わず出版社や一般人からの寄贈で集まった約3000冊の雑誌が並ぶ。雑誌は店内で自由に読むことができ、持ち出しは不可。ひらくの担当者は、「若者文化の歴史が詰まっているのが雑誌媒体。多くの雑誌が廃刊になるなか、本屋を飛び出して雑誌の魅力を伝えたいと思い企画した。このスペースから立ち読み文化も復活させたい」と話す。

3階はクリエイターが集う拠点に

3階は「クリエイターズプラットフォーム」と題し、企業やクリエイターに向けた製作スペースが中心。「ハラカド」のコンセプト設計から携わっているアートディレクターの千原徹也のデザイン事務所れもんらいふはここにオフィスを構え、同じスペースでさまざまな講師を迎えたクリエイター育成スクールを開校する。

会員制ラウンジ「ベイビー・ザ・コーヒーブリュー クラブ」は、コワーキングスペースのほか、アンティークスピーカーを備えたミニシアター、ポップアップスペースやギャラリー、バーなどを併設する。会員ランクに応じてそれぞれの施設を利用できる仕組み。

そのほか、コクヨのインハウスデザインコレクティブの作業スペースもある。約18平方メートルのスペースにデジタル印刷機「リソグラフ」を置き、商品製作を行うほか一般人向けの有料ワークショップなども定期的に開催予定だ。またJ-WAVEが運営するポッドキャストスタジオなどもあり、さまざまな制作活動が行われる拠点となる。

「アンダーカバー」のTシャツがお土産価格で

グランドフロアには、業界人御用達の会員制バー「カスバ」がコーナーショップをオープンした。キオスク型のスペースで、「カスバ」の増田令子オーナーと親交のある、スタイリストの野口強や「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」、アーティストの加賀美健らとコラボした限定アパレル商品を販売する。コラボ商品は8000円〜1万円で、「お土産感覚で買える値段にこだわった」と増田オーナー。

地下1階には「街の銭湯」

すでに多くの注目を集めているのが、地下1階の銭湯「小杉湯」だ。同フロアは「小杉湯」が「街の銭湯」をコンセプトに、フロア全体のプロデュースを手掛けた。銭湯を中心にしながらもコンセント付きのフリースペースや、ランニングステーション、ビールカウンターなどを併設して風呂に入らずとも自由に時間を過ごすことができる公共スペースとなっている。

銭湯は男湯と女湯を用意し、浴室内には名物のミルク風呂、熱湯と水風呂を交互に入る温冷交互浴ができる計3つの浴槽と9つの洗い場を用意した。入浴料金は520円で営業時間は7時から22時まで。地域に根ざすことを徹底し、4月17日〜5月12日の期間、利用者は神宮前1丁目〜6丁目エリアに居住または勤務地がある人に限定する。

「銭湯は誰もがありのままになれる場所。全てを削ぎ落とした後に残る本質や素に出合い、浸れる体験を」という理念に共感した企業がパートナーとなり、それぞれの区画でイベントや商品販売などのコンテンツを用意する。開業時は花王、サッポロビール、マイトレックス、アンダーアーマーがパートナー企業になる。花王は創業の原点である純国産石鹸を販売し、アンダーアーマーはランニングステーションで会員限定のプログラムを、サッポロビールはビールスタンドでサッポロ黒ラベルを提供し、マイトレックスは美容家電の貸し出しなどを行う。

小杉湯3代目の平松佑介代表取締役は、「都内に銭湯が2700軒近くあった1960年代、銭湯は多様な人が自然と集まる日常に根ざした場所で、人が集まるから企業が広告宣伝に使う場所でもあった。経済性、文化性、公共性を併せ持つ昔ながらの銭湯の現代版を、ここ『ハラカド』で作りたい」と話す。

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