ファッション

巨大フェリックスの意外すぎる展示場所 マーク・レッキーがエスパス ルイ・ヴィトン東京で日本初個展

東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京は、イギリス出身のアーティスト、マーク・レッキー(Mark Leckey)による日本初の個展「Fiorucci Made Me Hardcore feat. Big Red SoundSystem」を8月18日まで開催中だ。

同展は、フランス・パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトン所蔵作品を、東京や大阪、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウルなど世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンで紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一貫だ。同展では、レッキーの代表作2点を展示する。開催に合わせて本人も初来日し、関係者に向けたプレビューで作品について解説した。

マーク・レッキーは、1964年イギリス・バーケンヘッド生まれ。身近な生活環境をツール、インスピレーション源に、生活と芸術を結び付けたアプローチを行うアーティストだ。ポップカルチャーとカウンターカルチャーを交差させながら、若者やレイヴ、ポップ、ノスタルジー、社会階級研究、イギリス史などを掛け合わせ、彫刻や映像、音、パフォーマンス、コラージュなどを融合した作品を発表している。これまでにテート・ブリテンやMoMA PS1、デンマーク国立美術館、グッゲンハイム美術館など、世界各地のミュージアムで個展を開催。2008年にはイギリスで権威ある現代美術賞「ターナー賞」を受賞した。

見上げた先に世界的キャラクター

展示2作品の内、「Felix the Cat」(2003)は、12メートルの巨大な布製バルーンだ。「フェリックス」は1919年に誕生した漫画・アニメーションのキャラクターで、28年のアメリカ初のテレビ試験放送では被写体としても使われた。その時の写真を見つけたレッキーは、「フェリックス」をアバターのように感じたという。そして、デジタル時代の幕開けのシンボルといえるキャラクターを「神のような存在」と捉え、巨大化して表現することで「自分を含む人々がなぜ“イメージ”に影響されるのか理解を深めたい」と語った。作品を天井と壁の隙間という風変わりな場所に設置した理由について、「会場内で一番不自然で、ありえない場所に展示したかったから」と笑った。

英国ダンスカルチャーを全身で浴びる

もう一つの作品「Fiorucci Made Me Hardcore with SoundSystem(10周年リマスター版)」(1999-2003-2010)は、映像作品「Fiorucci Made Me Hardcore」と巨大スピーカー「SoundSystems」を組み合わせたインスタレーションだ。映像は1999年に制作した同氏の初期作品。レッキーは「70年代後半から90年代前半までの、イギリス特有のダンスカルチャーの歴史やストーリーを伝えたかった」といい、既存の映像を組み合わせ、15分に編集した。

タイトルの“Fiorucci(フィオルッチ)”は、レッキーが10代の頃に憧れていたファッションブランドの名前。「消費社会の中で、あるブランドが若者にとって大きな存在となり、その強い憧れや思いはブランドの枠を超えて、信仰の対象になっていく——それが面白いと思った」。「Fiorucci Made Me Hardcore」という言い回しは、同氏がアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の展覧会で見かけた写真のグラフィティーから採用した。

映像作品の音声を流す巨大なスピーカーは、2001年から03年にかけて制作した「SoundSystems」シリーズの一つ。赤と黒のキャッチーなスピーカーから大音量が流れ、低音が振動することで音を体感できる。「ユーチューブでも見ることができる映像作品に、スピーカーからの音の体験を組み合わせることで、同じ作品でも新たな効果が生まれ、共鳴の仕方も変わってくるはず」と解説した。

初の来日となったレッキーは、日本の来場者に向けて「イギリスの文化に関心がある日本人は多く、イギリスもまた日本への関心が強いと感じる。日本の人たちにはイギリス的な私の作品に何か共通点を見つけ、親近感を持ってもらえると期待している」と、メッセージを送った。

■マーク・レッキー個展「Fiorucci Made Me Hardcore feat. Big Red SoundSystem」
日程:〜8月18日
時間:12:00〜20:00
場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準ずる
料金:無料

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