ファッション
連載 進化する幸せ産業

エンタメ化する睡眠事情 上質な睡眠に導くドリンクや施設に注目【進化する幸せ産業】

今や睡眠さえ娯楽になる時代だ。サウナブームしかり、心身をリラックスできる状態へと整え、開放する時間をみな求めている。リラックスを、努力と工夫で手に入れるための一環として睡眠がある。眠っている時間は1日24時間のうちの多くを占めるので、上質な睡眠を求めるのは当然と言えば当然なのだが、今までは睡眠そのものを楽しむまでには至らなかった。ところが最近、眠りにフォーカスしたドリンクやサプリ、ホテルやサロンなど、上質な睡眠を得るためのさまざまなツールやサービスが増えてきているのだ。

リラクゼーションタイムを支える
次世代の機能性ドリンク

その一例が、“次世代リラクゼーションドリンク”と銘打った「チルアウト(CHILL OUT)」。24時間闘うためのエナジードリンクや、パフォーマンスアップのためのスポーツ飲料など、アクティブな気分になるドリンクではなく、睡眠や仕事合間の休憩など、リラクゼーションタイムをサポートするのが目的だ。ネーミングの通り、気持ちを落ち着かせ、ゆるやかにトーンダウンさせるダウナー系といえそうだ。リラクゼーションサポート成分にはGABAやL-テアニン、ヘンプシードエキス、ホップエキスの4種を配合。野菜や果物に多く含まれるアミノ酸の一種のGABAは、植物由来や乳酸菌由来を使用している。お茶に含まれるテアニンには、リラックス効果が期待できるという。安らぎを感じるグリーンを用いたシンプルな缶のデザインにも鎮静作用がありそうだ。

気になるお味は、これがまたユニーク。シトラスやハーブ、フルーツ系の香りと、清涼感のある香りは、AIが導き出したオリジナルフレーバーだという。マスカットとオレンジ系の爽やかな味の微炭酸は、ノンアルコールのカクテル、モクテルのよう。細やかな泡が心地よく、寝る前に飲むとふんわりとした気分になる。自然派志向の人も安心の、保存料・着色料不使用で、ノンカフェインだ。体に負担が少なく、心地よい眠りへと誘導してくれる、まさに次世代の機能性ドリンクなのだ。定番の「チルアウト」のほかに、カロリー0、糖質0の「チルアウトゼログラビティ」なども展開。スーパーやコンビニなどにも販路を広げ、今後ますます浸透しそうだ。実際、自動販売機などで目にする機会も増えている。

銭湯とコラボレーションした
超没入型寝落ち企画も

「チルアウト」が杉並区高円寺の銭湯「小杉湯」、そしてNTT東日本が運営する睡眠コミュニティー「ザコネ(ZAKONE)」とコラボレーションした「寝落ちチルハウス‐CHILL&SLEEP‐」も興味深かった。これは銭湯に喫茶やコワークスペースを併設した「小杉湯となり」という施設もフル活用し、寝落ちする前のリラックス時間を体感しようというイベント。まずは、銭湯でチルアウトの香りとイメージカラーの浴槽でリラックス。体がほぐれたら、「チルアウト」を使ったクリームソーダを飲んだり、深い眠りを誘う書籍を並べた読書コーナーでくつろいだりする。さらには眠りを可視化し、寝落ちできる空間を体験してもらうという流れだ。入浴した後に過ごす理想的なリラックス時間を、それぞれが楽しむことができる。

「ザコネ」は睡眠業界を盛り上げるために生まれた、企業と個々をつなぐネットワークだ。現在106社が協働し、新規事業創出やサービス開発に取り組んでいる。「寝起きチルハウス」では、リビングや寝室も併設した「小杉湯となり」で超没入寝落チルームを企画。イヤホン型BCI「XHOLOS」で脳波からリラックス度を計測し、その数値をランプの光に反映することで可視化する。ブレインスリープ社の寝具、アスリートや力士も愛用しているというデンバ(DENBA)のヘルスケアマットで自律神経を整えるなど、「ザコネ」に加盟している各企業の快眠グッズを体感できる。BGMやアロマなど、五感で上質な睡眠を得られることを実感すれば、自宅での睡眠環境を整えるきっかけとなるだろう。

客室を寝室と捉えたホテル「レム」

上質な睡眠に特化したホテルも存在する。「よい眠りを」をコンセプトとした阪急阪神第一ホテルグループのブランド「レム」だ。現在、銀座や六本木などの都内5軒に加え、神戸三宮や新大阪、鹿児島に構える。客室を“寝室”ととらえ、心身を休めるカラーリング、快適な眠りのためのデザインを心掛けている。本格的なマッサージチェアを全室完備、心地よい眠りに導くレインシャワー、日本ベッドと共同開発したオリジナルベッドマットレスを採用し、心地よい眠りのための機能とデザインで、上質な睡眠へと誘導している。

ロビーに流れるBGMも良い眠りのためのオリジナルで、朝・昼・夜で曲を変えている。エントランスからエレベーターホールに至るまで、曲線や揺らぎを表現し、落ち着けるライティングなど、快眠を期待させるセンサリーデザインでまとめているのだ。

ゆったり過ごせるように、チェックインは14時から、チェックアウトは12時なのもうれしい。アメニティーグッズは、良い眠りの実現という考え方で統一され、選び抜かれたアイテムで快眠と休息をサポート。チェックインやチェックアウトもできる限り簡略化し、滞在時間=睡眠時間を最大限にする努力をしている。

“無は最高の贅沢”
無重力アイソレーションタンク

究極の睡眠といえるのが、フローティングスパでの瞑想だ。「ココロド(COCORODO)」では、エプソムソルト溶液の中で重力から解放されてフローティングするアイソレーションタンクがある。カプセルの中で身をゆだねると、そこは光と音が完全に遮断された世界。脳の大部分が行う感覚情報の処理過程を手放すことで、深いリラックス状態を促し、無重力のような感覚を味わえるのだ。“無は最高の贅沢”というコピーにも納得。

胎内で漂うような時間の後は、海で泳いだ後のような心地良いけだるさが残る。その後の睡眠はより深く、上質なものとなるだろう。フローティングスパには最短時間で最幸の休息を得るという目的以外にも、ストレスや睡眠障害の軽減、けがや肉体的なダメージからの早期回復、創造的な思考の向上などの効用がある。アスリートやアーティスト、経営者など、感性を磨くことを重視する層が定期的に訪れているそうだ。初心者には90分+説明や前後のシャワー60分のコース(税込1万3000円)がおすすめだという。無重力状態に慣れて脱力するまで30分、さらに深いリラックス状態になり、そのまま浮かびながら眠ってしまう人も多いのだとか。かくゆう私も完全に寝落ちした!

フィットネスに関しても、鍛え上げるエクササイズより、ゆるめてほぐすようなメンテナンスへと移行しているように思える。メディアでも活躍するフィットネスプロデューサーであるトレーナーのAYAが率いる虎ノ門のジム「フィーリングッド(Feelin’Good)」でも、脂肪燃焼やボディーメイクのセッションに加えて、睡眠とマインドフルネスのイベントを専門家を招いて企画中だという。安らぎは黙っていてもやってこない。自らが動くことで、より上質な休息を手に入れることができるのだ。

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