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ファストリ、赤字の「プラステ」テコ入れ ユニクロの経営基盤でグループブランド浮上へ

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基幹の「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」が好調なファーストリテイリング(以下、ファストリ)が、赤字が続くグループブランドをテコ入れし、収益の柱の多様化を進めている。「ユニクロで培った商売の原理原則や情報製造小売業の基盤を活用し、グループブランドの経営水準を高め、それぞれがグローバルで確かなブランドポジションを築く」ことを2024年8月期の事業方針の一つとして発表。グループブランドの筆頭格は「セオリー(THEORY)」だが、同ブランドは既に一部商品の値下げなども行い、23年8月期は「大幅な増収増益」を達成。目下、改革中なのが「プラステ(PLST)」だ。

東京・銀座の「ユニクロ トウキョウ」を訪れると、以前は「ユニクロ」商品が陳列されていた4階の一角(約198平方メートル)に、「プラステ」の黒いボックスロゴと、同ブランドのミューズである桐谷美玲さんの大きなビジュアルが現れる。「ユニクロ」売り場と仕切りなどはなく、ブランドの違いに気づかず「プラステ」商品を手に取る客も多そうだ。

「プラステ」は、ファストリ傘下のプラステが運営するウィメンズ・メンズカジュアルで、もともとは「セオリー」を手掛けるリンク・セオリー・ジャパン発のブランド。きれいめスタイルで30代客をつかみ、一時は「ユニクロ」「ジーユー」に続く第3の柱に、という見方もあった。しかし、コロナ禍以降の通勤需要減で赤字に陥っており、不採算店の大量閉店を実施。20年8月末に102あった店舗数を現在52までに減らし、同時に「ユニクロ トウキョウ」のように「ユニクロ」の大型店内への出店を進めている。

「ユニクロ トウキョウ」に「プラステ」が出店したのは23年春のこと。同時期に福岡・天神でファストリが運営する商業施設、ミーナ天神内の「ユニクロ」にも出店。今秋はミーナ京都の「ユニクロ」と、東京・世田谷のユニクロ単独店「ユニクロ 世田谷千歳台店」にも出店し、「ユニクロ」内店舗は4店となっている(全52店に含む)。

「『ユニクロ』内に出店した店舗は予算を超える売れ行きで好調」と、プラステの伊藤なつきマーケティング部部長は話す。「ユニクロ」内出店の開始に合わせ、「プラステ」はロゴも刷新。「ユニクロ」「ジーユー」と同じく佐藤可士和サムライ代表がロゴデザインを手掛け、「『ユニクロ』の姉妹ブランド」という見せ方を強めている。「今は『ユニクロ』の集客力を生かして、幅広いお客さまにブランドを知っていただいている」過程だと伊藤部長は続ける。

もちろん、集客面だけでなくモノ作りでもグループの強みを生かす。美脚パンツに定評がある「セオリー」由来のブランドとして、「プラステ」が目玉商品としているのがパンツ類だ。中でも秋冬は、ユニクロが戦略的パートナーシップを組む東レと開発した吸湿発熱素材による“ウォームリザーブパンツ”を推している。同商品は16年の発売以来、累計135万本を販売し、「プラステ」いちのヒット品番になっているという。ほか、「物流面、販売員の教育などでもグループとしてのスケールメリットやノウハウを生かしている」。

販売員は「ユニクロ」の売れ筋も把握

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