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「バレンシアガ」2017年春夏パリ・メンズ・コレクション

REPORT

エクストリームなショルダーラインで予感させたデムナのフォーマルでの可能性

ストリートアイテムで創業者クリストバル・バレンシアガ特有のシルエットを描き、喝采を浴びたウィメンズから約100日。デムナ・ヴァサリアは2017年春夏、メゾンにとって初というメンズのランウエイショーを開き、その歴史に、また新たな1ページをプラスした。

 その出発点を、アーカイブの研究としたところは、ウィメンズと同じだ。今回、デムナが特に興味を持ったのは、メゾンのアーカイブはもちろんだが、クリストバル・バレンシアガ本人のスタイルだったという。慌ててグーグルで調べてみると、ヒットしたクリストバルの写真は、ボックスシルエットのダブルブレストスーツ姿。大きなピークドラペルのジャケットには胸ポケットにチーフをあしらい、実にエレガントだ。だからこそデムナは、彼が愛したボックスシルエットのスーツを初のメンズ・コレクションの根幹に据えたのだろう。

 ただデムナは、エクストリームが当たり前のストリート出身のデザイナーだ。端正なスーツでは、自身も、ファンも物足りない。そこで彼は、エクストリームという考え方を、スーツにも導入。まずはショルダーラインを真一文字にして、エクストリームに強いラインを形成。さらに異様に大きいか、もしくは極端に小さいかのフォームに仕上げ、タイトフィットな共布のショーツやストレートパンツと組み合わせてランウエイに送り出した。

 3サイズくらい大きなスーツを着ているようなモデルの姿は、ほんの2年前だったら「異様」としか表現できなかったろう。しかし今は、“ユース”マインドが浸透し始め、「大人の体になりきっていない少年が、背伸びをして、大人のスーツを黙って借りてカッコつけている」ムードが認められつつある時代。そんなマインドのエクストリームとも解釈できるデムナのスーツは、ウィメンズ同様、新時代を切り開く可能性を少なからず感じさせた。

 今回のコレクションは、チャプター1だ。コレクションは中盤、スーツ同様にパワフルなショルダーラインのスイングトップやMA-1、レザーコートなど若干のバリエーションを見せたが、その後は再びスーツに終始した。デムナらしい、ストリート感覚をクチュールブランドらしく表現したウィメンズに比べれば、幾分物足りない。ただ、スーツを筆頭に芯地を入れたトップスの仕立ては、文句なしに美しい。ストリートの星が、フォーマルでも勝負できそうな予感を抱かせるには十分だった。

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