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特集 企業研修・人材育成

ダイバーシティーの取り組みでリードするユニリーバ 管理職が学ぶ“無意識のバイアス”【企業研修・人材育成特集】

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【特集】企業研修・人材育成_ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス

研修名:
EDI研修

対象者:
希望者

自ら手を上げたメンバーが
スポークスパーソンとして活躍

少子高齢化による労働力人口の減少やグローバル人材の確保など、人材育成の課題が長く指摘されてきた。コロナ禍を経て、働き方やコミュニケーションに変化が生まれ、人材育成の重要性はさらに高まっている。本特集では、独自の研修プログラムで成果を上げる12社の取り組みを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月5日号からの抜粋に加筆しています)

ユニリーバは「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」を企業パーパスに掲げる。10年以上にわたりサステナビリティ推進に取り組み、2021年にはグローバルの新たな成長戦略「ユニリーバ・コンパス」を導入した。同戦略には、「地球の健康を改善する」「人々の健康・自信・ウェルビーイングを改善する」などのほか、「よりインクルーシブな社会に貢献する」の3つの分野がある。その中に「エクイティ、ダイバーシティー、インクルージョン(以下、EDI)」があり、世界全体で数値目標を掲げてさまざまな活動を行っている。

これらが成長戦略に組み込まれる理由は、ユニリーバが世界190カ国でビジネスを展開し、その商品を日々35億人が使用していることがある。約15万人の社員が能力を最大限に発揮できる環境をつくり、多様な消費者ニーズに応えることができなければ企業の成長はないと考えるためだ。「ユニリーバ・コンパス」の大きなフレームの中で、人種差別やジェンダー平等などフォーカスする分野や施策を各国で決めている。

岸本しのぶユニリーバ・ジャパン・ホールディングス ヒューマン リソース 人事マネジャー、タレント&オーガニゼーション リードは、「ダイバーシティー&インクルージョンの考え方は、企業文化として元々根付いている。私たちの取り組みは、EDIに関して課題があって解決するためというより、より良い社会を目指すビジョンやパーパス実現のための啓発活動というイメージ」と話す。

全社員に「EDIとは何か」を学べるグローバル共通のeラーニングコンテンツを用意する。基礎的な知識がある上で、新人マネージャーには「アンコンシャスバイアスとインクルージョン」のテーマで研修を行う。トレーニングでは、まずアンコンシャスバイアスやマイクロアグレッションがビジネスおよび組織や人材開発に与えるリスクを知識として学ぶ。次に、自分の中にあるバイアスを掘り起こす作業で気付きを得て、実際の行動につなげるコミットメントを立てる。「ユニリーバでは、全ての人に同じものを提供するから平等ではなく、それぞれの事情や状況に合わせて必要なものやことにアクセスできる機会や選択肢を提供することが平等・恒平であるとの考え方がある。この考え方が本当の意味でのインクルージョンにつながる視点」と岸本人事マネジャー。

さらに昨年、「EDIをさらに学び具現化したい」「リーディングカンパニーとして社会課題解決のために何かをしたい」「子どものころの原体験で公平に扱われなかった経験がある」などEDIに思いを持つ社内の有志メンバーが集まり“ユニリーバ・プラウド(Unilever Proud)”を発足した。同プロジェクトを立ち上げた小野菜生ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス アシスタント 人事 マネジャーは、「EDIの取り組みは人事、経営主導で進めるものと思われがちだが、それではアイデアも少なく浸透もしない。社員と面談する中で、EDIに対して何か取り組みたいと考えている人が多いことに気付き有志団体として立ち上げた。自ら手を上げた人は圧倒的にコミットメントが高く、そうしたメンバーが集まりどんな方法で社内外の誰に何を伝えていくか戦略やプランを立て実行している。

3月の国際女性デーに向けた社内向け啓発ビデオの作成、4月の東京レインボープライドへの出展などの取り組みを行ってきた。同時に、メンバー間で学びを深めている」と説明する。メンバーは管理部門のほか、広報やR&D、営業、マーケティング、サプライチェーンなど全部門から1人以上、14人が集まった。「それぞれの取り組みで、メンバーがアンバサダー的立ち位置で各部門に発信してくれるため、より浸透しやすい」という。

同社の研修では“学習の定着率”を重視する。「『70:20:10の法則』といわれるが、人の成長に影響があるのは経験が7割、薫陶が2割、研修が1割という米国の人材開発研究機関が示した調査結果がある。体験型の学習は感情を喚起させ、深い思考につながり、自分にも他者にも影響を与える。自分たちの学びを横や縦に共有することで、メンバーの顔は自信に満ちあふれていった。会社のビジョンに共感し、自分自身に誇りを持つことにもつながっている。今後も“自ら動く”と“繰り返し学ぶ”を掛け合わせた研修を広げていきたい。全ての研修は、自分探しを通じて会社とのつながりを感じる最大のエンゲージメント施策なのかもしれない」と岸本人事マネジャーは話した。

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