ファッション

「グッチ」がソウルでデザインチーム最後のクルーズショー 90年代ハイブリッドで後任にバトンパス

グッチ(GUCCI)」は5月16日、韓国・ソウルで2024年クルーズ・コレクションを発表した。「グッチ」は昨年、梨泰院で起こったハロウィンの事故を踏まえ、その2日後にソウルでの開催を予定していたのファッションショーを中止していた。ソウルとの“約束”を果たすために開催したファッションショーは史上初めて、14世紀に建設された景福宮で開催した。王宮の重要な儀式が執り行われてきた中庭には、韓国で「国民の妹」と呼ばれる歌手のIU、ニュージーンズのハニ(Hanni)、ITZYのリュジン(Ryujin)らが来場し、メゾンと韓国、ひいてはアジアの関係性を印象付けた。日本からは、グローバル・ブランドアンバサダーを務める俳優の志尊淳が駆けつけた。

クルーズ・コレクションは、引き続きデザインチームが手掛けた。5月にクリエイティブ・ディレクターに就任したばかりのサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)によるコレクションは、9月のミラノ・ファッション・ウイークでの発表を予定している。

同じくデザインチームが生み出した23-24年秋冬コレクション同様、24年クルーズコレクションは「グッチ」の歴史に着想源を得た。今回は1990年代のムードがベース。ストリートの勢いが増して、若い世代はフォーマルとのリミックスをスタート。ハイ&ロー、モードカジュアルなど、あらゆる面で相反するもののハイブリッドが進み、スタイルの多様性が一気に広まった時代だ。

コレクションは、ガウンのようなシルエットのMA-1で幕を開けた。カジュアルアイテムの代表格を、イヴニングのテクニックで形にする。ライナーは、イヴニングドレスのように鮮やかなオレンジ。メタルチェーンのクラッチバッグをコーディネートする。GGモチーフのブルゾンは、袖が着脱式。胸元にはシルクサテンの大きなリボンを飾った。韓国の民族衣装に着想得たものだ。首にはパールのネックレス、手にはGGモチーフの“ジャッキーバッグ”だが、中央にはネオンカラーのレザーをあしらった。マキシ丈のTシャツはシルクサテンで作り、ドレスのように着こなす。金ボタンをあしらった高貴なパープルのツイードジャケットには、ネオプレンのショートパンツ。キー素材となったネオプレンは、ソウルの中心を流れる漢江(ハンガン)を意識して選んだ。ビジューを飾ったスカートはヒップハングで履きこなし、メタルチェーンのネックレスをグルグル巻いたり、90年代を代表するハイブリッドは多種多様だ。

ハイブリッドして新鮮なスタイルを生み出したが、アイテムはベーシック。後任デザイナーにスムーズにバトンを渡すため、過去にインスピレーションを得つつ、パーソナルなアイデンティティは最小限にとどめようとした印象だ。前任アレッサンドロ・ミケーレ(Allessandro Michele)らしい豪華な装飾主義や個性的な色柄は、彼の退任以降段階的に控えめになっており、商品や店舗などの空間で表現する世界観は、比較的ニュートラルに近づいている。サバトにバトンを渡す体制は整ってきた。9月のコレクションが楽しみだ。

アフターパーティーには、元2PMのジェイ・パーク(Jay Park)やエイサップ・ロッキー(ASAP ROCKY)が登場した。

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