ファッション

「エンフォルド」が新世界百貨店と組みソウル出店 アジア開拓に本腰

 バロックジャパンリミテッドの「エンフォルド(ENFOLD)」は9月14日、海外で初となる単独店を韓国・江南の新世界百貨店4階に出店した。ブランドの世界観を凝縮した“コレクションライン”を中心にデザイン性の高いアイテムが好評で、好調な滑り出しという。新世界百貨店とフランチャイズ契約しており、今後韓国では同社を通じて8〜9店の出店を進める。

 植田みずきディレクターは「(江南の店舗は)まだ開いて間もないが、非常に手応えを感じている」と話す。来期(23年3月〜)以降は韓国と並行して中国本土への出店に向けても動き出す。

 国内百貨店では、コンテンポラリーゾーンでの地位を確立した「エンフォルド」。今後はアジア販路開拓に本腰を入れ、ブランドを新たなステージへと引き上げる。

WWD:「エンフォルド」の海外事業の現状は。

植田みずき「エンフォルド」ディレクター(以下、植田):海外事業の売上高は全体の14%で、そのうち約6割が韓国。海外事業単体で黒字化している。海外店舗への卸はショールームの「トゥモロー(TOMORROW)」を通じ、セレクトショップを中心に卸販売してきた。そこで順調に顧客が育っていたことが単独店の好調な滑り出しにつながっている。今後は新世界百貨店によるフランチャイズで韓国での出店を進め、セレクトショップへの卸は徐々に絞って単独店にシフトする。今後数年で8〜9店舗を出店する計画だ。

WWD:江南の新世界百貨店は、どのような商環境か。

植田:日本で例えるのであれば伊勢丹新宿本店に近い雰囲気を感じる。江南は韓国有数の富裕なエリアで、新世界百貨店のお客さまも買い物のモチベーションが非常に高い。日本の百貨店は、下層のラグジュアリーブランドや化粧品、食品フロアはお客がたくさんいるが、上層の衣料品はまばらというケースが多い。だが江南の新世界百貨店はどのフロアにもにぎわいがあり、どのお客さまも手に買い物袋をぶら下げている。

 フロアの並びのブランドは「ルメール(LEMAIRE)」「ガニー(GANNI)」「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」「アー・ペー・セー(A.P.C.)」など。韓国での小売価格は日本の1.7倍ほど。セレクトショップでの卸販売では2倍以上になっていたが、それでも通用してきた。新世界の店舗では、エッジーなデザインやギミックを加えた攻めたものが売れ筋。比較的シンプルで、着まわしのしやすさや機能性を重視した、実用的なものが売れる日本とは明確に異なる。

WWD:江南の店舗の好調要因をどのように分析するか。

植田:一つは、もともと韓国国内で一定の認知が育っていたこと。とはいえ現地ではまだまだ無名だと感じるが、ファッションコンシャスな方の間には広がってきた手応えがある。「日本のブランド」という切り口で見られているとは特に感じず、純粋に他にないデザインが支持されている。ブランドのインスタグラムのフォロワー(約15万)のうち、日本に次いで多いのが韓国。最近ではBLACKPINKのジェニー(JENNIE)が「エンフォルド」の服を着用した画像をインスタにアップしてくれたことも、認知拡大につながっている。

 韓国のセレクトショップへの卸販売を7年間行っていたことで、韓国と日本との商習慣の違いにある程度慣れていたのも大きい。毎週新商品の投入が求められる日本の百貨店と違い、韓国ではワンシーズンの商品を一度に納入する。初めは苦労したが、今では随分慣れてきた。新世界の店舗でも、“コレクションライン”はシーズン始めに全ての商品が一堂にそろうことで店頭でインパクトのあるフェイスを作れている。ブランドの世界観を伝える上では、むしろ好都合だ。

 現地の女性は、インパクトがある色柄やデザインも、抵抗なく受け入れている。今、世界は音楽を中心に韓国カルチャーが席巻している。「自分たちが最先端である」という自負が、ファッションに前のめりにさせているのかもしれない。

WWD:来期以降の海外戦略の展望は。

植田:海外を成長のエンジンにする上で、中国の開拓が重要になる。バロックには中国現地企業との合弁であるバロックチャイナがあり、「マウジー(MOUSSY)」などで中国出店の戦略やノウハウの蓄積があるものの、ブランドの規模やターゲットなどが「エンフォルド」とはかなり異なるため、そのまま当てはめることはできない。どういう形がベストか慎重に探り、来年には緒につけられるようにしたい。

 ゆくゆくは世界中に店舗を構え、たくさんの人に「エンフォルド」の服を届けられるようにしたいという夢がある。コロナ前に実施した世界3都市(ロンドン、ロサンゼルス、香港)でのポップアップでは、さまざまな学びを得た。香港では非常に好感触だった一方、欧州ではシンプルなデザインが求められ、攻略には商品戦略の軌道修正が必要だと感じた。米国では、さらに商品の納期を前倒しできなければついていけない。

 ポップアップは当初韓国での実施も計画していたが、新型コロナが拡大したことで開催を見送った。従来のように世界中に足を運び、インスピレーションを得ることは難しくなった。だがその分、限られた視野の中で、ブランドのクリエイティブがより「濃く」「深く」なったと感じる。まだまだ「エンフォルド」は進化できるという手応えがある。

WWD:国内事業に目を向けると?

植田:今年7月以降は、19年の水準を上回るまで回復している。すでに主要都市を中心に13店舗あり、出店余地があるとしたら神戸ぐらい。これ以上店舗数を広げることは考えていない。店の面積を広げたり、内装を作り込んだりと、より世界観を深化させる方向になるだろう。

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