ファッション

デニムが環境に負荷をかけてるってホントなの? マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」Vol.39

 答えは、”本当”です。

 でも、肌で感じ取るのはやっぱり難しい。生産の過程で環境に負荷をかけているのはなんとなく理解できるけれど、デニムアイテムを楽しむ日々の中でも環境に負荷をかけてしまうことがあることに気づいている方は少ないんじゃないかと思う。

 デニムの歴史は、150年以上にも及ぶ。丈夫で耐久性に優れた素材で、ジーンズは作業着として愛され始めた。長く使えて、お直しもしやすいから、本来ならまさにサステナブルなのだ。

 でも、この150年の間にファッション性が求められ、大量生産型の社会に移り変わり、そのあり方は大きく変化した。さまざまなダメージ加工が普及した。元来自然にできるエイジングを堪能していたのに、人工的なフェイクダメージを加えるようになった。“ケミカルウオッシュ”なんていうデニムが一世を風靡した時代は、環境負荷なんて「なんの話?」だったのかもしれない。

 そもそも1本のジーンズを例に挙げると、繊維から商品になり、販売され、着用されて捨てられるまで、実に3781リットルもの水が使われるという。これは、シャワーを50回以上浴びたのと同じ。繊維業界への監視が甘い地域では、染色と洗浄に使用される有毒化学物質(カドミウム、クロム、水銀、鉛、銅などの重金属)が、川に直接排出され続けているという。年間6兆円とされる世界のデニム産業からはこれまで、「オーガニックコットンを使用しています」と謳うアイテムが少なかった。デニムは長らく、コットン農家における児童労働にも加担してきたのだろう。

 そしてデニムは、色を生地に定着させるため大量の薬品を使ってきた。だから洗濯にも気をつけたい。その回数を減らすことも、我々が日常的に取り組める大きなアクションだ。

 私のブランド「パスカルマリエデマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS.以下、PMD)」は、デビューとほぼ同時にリバーシブルデニムを発表。追加生産するほどの人気アイテムになった。裏表両方で着用可能なデザインが人気を呼んだのだ。最初は、ノンウオッシュ。その次はレーザー加工で、有害な薬品は使わなかった。生地のトレーサビリティも重視して、サステナブルな未来に投資したいという思いからトルコの生地メーカー、イスコ(ISKO)の生地を導入。縦伸びストレッチという特殊な生地を選び、気になる部分の美脚を可能ながら動きやすさにも配慮した。こうしてデニムは飛ぶように売れたが、現在は環境負荷の観点から生産を中止している。加速するデニムのサステナビリティを固唾を呑んで待っている。実際各社は、環境負荷の少ない加工マシンを導入したり、オーガニックコットンを使用したり、良い方法を日々模索している。

 現在世界で評価の高いサステナブルなデニムブランドは、リユース・リサイクル・リメイクという手法に取り組んでいる。それが、大量に生産し続けたデニムの一番サステナブルな活用方法だからだ。そして昔、愛好家の間で囁かれていた「デニムは洗わないものだ」という合言葉は、サステナブルなアクションでもあるのだ。丈夫で長く着用でき、必要以上の洗濯も不要なデニムが、生産過程の技術革新でさらにサステナブル&エシカルになることを信じている。

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