ファッション
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

ポップアップは、どこまでサステナブルになれるのか?! マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」 Vol.25

 今回のテーマ“ポップアップショップ”の歴史は、「ウィキペディア(Wikipedia)」によると、なんと1298年まで遡るという。今のポップアップの前身となる期間限定の店舗は1298年、オーストリア・ウィーンのクリスマスマーケットに設けられたものが最古とみられ、その歴史に驚いた。今のような、期間限定のショップがファッション界でも増えたのは、2010年前後だっただろう。

 ポップアップショップは常設店よりもコストなどの負担が軽く、消費者もお祭り感・限定感に心が躍る。SNSのパワーを駆使したポップアップショップは、すっかり定着した。
だが、環境にかける負荷はどうだろう?

 そう思うようになったのは、私のブランド「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS.以下、PMD)」がポップアップショップに取り組むようになってから。期間限定の資材やポスター、壁紙は、営業が終わるとゴミになる。再利用は常設店を持たないと難しく、環境に負荷をかけることも多い。

 私は、ポップアップの施工業者の方と相談を繰り返した。「面倒な客」と思われていたに違いない。「サステナブルという言葉は、商品だけにしてくれ」、そんな風に思われていたかもしれない。でも、妥協できなかった。

 お客様は、私たちのサステナブルな取り組みにアイデンティティを感じてくれて、ただ商品を買うだけでなく、その空間も楽しみに来てくれる。什器やハンガー、ゴミ箱からショッピングバッグにいたるまで、“当たり前”を見直す作業から始まった。什器やハンガーは、某アパレルブランドの“おさがり”を使用、ハンガーはそこにオリジナルのロゴを加え、いい感じに仕上がった。

 店内はどうしよう?業者さんと

業者さん:「『PMD』は、アーシーなグリーンでいきましょう!」

私:「生花は枯れるとゴミになるから、循環型とは思えません」

業者さん:「では造花にしましょう!何度も使えるからサステナブルです!」

私:「でも造花って、プラスチックで作られていませんか?」

 こんな会話を繰り返しながら、「新しいものの購入を最小限に抑えたポップアップ」というテーマを追求した。

 結果、新しく買ったのは絨毯とお祭りライト、立て看板くらい。装飾にはフラワーアーティストの志村大介氏とのコラボレーションで、アートで使った生花をドライフラワーにして使用。その空間に対する反響は大きかった。下北沢で約2カ月開催した「PMD」のポップアップショップは、大盛況のうち会期を終えた。

 そして挑戦はさらに続く。9月5日には渋谷のミヤシタパークに「PMD」のリミテッドショップがオープンする。新しいサステナブルに取り組んでいるので、ぜひ、「PMD」の空間づくりを体感していただきたい。ショップは10月10日まで、毎日11~20時オープンだ。

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