サステナビリティ
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

「ラコステ」グローバル初の試み「REGENERATION(再生)」プロジェクト、始動 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」 Vol.22

ラコステ ジャパンとのコラボ企画が動き出したのは、今年に入ってから。何度かの打ち合わせを経て、実際に作業を始めたのは春過ぎだった。

この企画は、「ラコステ(LACOSTE)」にとってグローバル規模で初めての「REGENERATION(再生)プロジェクト」というもので、同社が回収した古着を文字通り再生させる実験的な取り組みだ。まずは「ラコステ」の古着を回収、そして回収した古着をアーティストが再生させ、新たな作品は店舗で販売するという。「ラコステ」渋谷店には、ダンボールアーティストの島津冬樹さんによる特製の古着回収ボックスとオブジェが設置された。意義ある取り組みに参加できたことを心から光栄に感じ、作業中もなかなかの手応えを感じた。

まずすごいのは、「ラコステ」という歴史あるブランドが、新しい挑戦に踏み出したこと。昨今ラグジュアリーからファストファッションに至るまで多くのブランドが、さまざまな形でサステナブルに取り組んでいる。リサイクル素材の使用や、回収してからの再生、天然繊維への傾倒、透明性の確保、寄付、働き方改革までさまざまだ。だが世界的なブランドが、価値ある再生なら、自分たちの”今、存在するもの”を自由にアレンジしても大丈夫と言ったことには驚かされた。企業とは大きくなればなるほど、越えなくてはいけないハードルがまるで山脈のようにそびえ立つからだ。

そんな企画で「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMRAIS)」に託された重大任務は、「”自由に”なんでもやってください」。「その信頼はどこから!?」と心の中で叫んだが、出来上がってもいない完成形のビジョンには自信があった。幼いころから自分の服を切ったり貼ったり縫ったりしてクローゼットの洋服を違うものに変えて遊んできた私は、回収された「ラコステ」の古着の山を見たとき、小学生の頃にタイムスリップしたような感覚でワクワクがとまらなかった。

古着の山は、最初にゆっくりと一枚一枚、種類や素材別に分けた。何が、どこにあるのか把握するためだ。それが終わると、何をどう組み合わせるのか、今度は瞬時に決めていく。時間は数時間しか必要ないと伝えていた。スピードと判断力がないと多分3日はかかる作業、でも誰にも任せられない大切な作業。そして、私にとって慣れた作業だった。幼い頃は小さな部屋で一人でやっていた作業を、今は、手伝ってくれるチームがいるなんて!!なんて幸せなんだ!!と思いながら、まるで“ファッション遊園地”で遊んでいるようだった。

そんな幸せがいっぱい詰まった工程から、私が、チームのアトリエワークや職人の手を借りて仕上げ、正しく「REGENERATION(再生)」させたアイテムたちは、バケットハットやシャツ、「ラコステ」を代表するポロシャツにパンツ、ポーチ、そして「パスカル マリエ デマレ」のモノ作りを担当するレザーアーティストTOMYさんのセンスと技による「ラコステ」ロゴのワニのぬいぐるみなどだ。

ニューヨークに住んでファッションを学んでいた時、「ラコステ」はあの街でコレクションを発表しており、私は一番大きな影響を受けた。「ラコステ」は、憧れのブランドだった。名も無い私にコレクションを何度となく生で体感させてくれた「ラコステ」への感謝と尊敬の気持ちが、こうしてアイテムに投影し形にできたこと自体が、まさに「REGENERATION(再生)」だ。制作過程をSNSなどにアップしていたら問い合わせが殺到したが、作品の展示・販売は8月19日から「ラコステ」渋谷店で始まる(予定)。是非、多くの方々にこのプロジェクトを体感してほしい。

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