ファッション
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

年52!? 「シーズン」がもたらすアンサステナブルなファッション 「私の33年目のサステナブル」 Vol. 20

世界で開かれるファッション・ウイークは、各都市年に2回ずつ。パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京(他の都市でも行われている)”FASHION WEEK”。ビックメゾンやショーにこだわるブランドは、感染対策を講じながら今も開催し続けている。ファッション・フォロワーなら、業界人やインフルエンサーたちがこぞってSNSにアップするショーの様子を目にしているでしょう。

多くのブランドは、春夏と秋冬と1年を2つに分けているが、中には4つに区分しているブランドもある。今回のコラムは、その”シーズン分け”こそが、ファッション界が“アンサステナブル”になってしまった要因なのではないか?というお話。

中世ヨーロッパで男女がともにファッションを楽しむようになったのは、19世紀と言われている。特別な大富豪を除けば、高額ドレスやスーツは“お直し”しながら親から子どもへ受け継がれた。それは、日本でも同じ。着物は何度も“お直し”できて、子どもは親から受け継いだ。

だが20世紀に入ると、業界は“シーズン”を定めだす。年2回、もしくは4回のシーズン。そう、服に半年とか3カ月という“賞味期限”を与えることにより、消費者に洋服を脱がせ、捨てさせ、購買意欲をかきたてることに成功したのです。流行り・廃りを明示し、「もう、これは前のシーズンのモノだから」と着づらくさせ、新しいものを求めさせる。売れ残りはセールでさばき、それでも残ったものは大量廃棄です。ちなみに、アウトレットで売っているものは元来セールの売れ残りでしたが、最近はアウトレット用に商品を生産しているブランドも多いと聞きます。

2018年頃までは、ホリデーやサマーなど、1年を6つに分けるブランドも少なくありませんでした。オーストラリアでは、毎月新作を発売するブランドにも出合いました。ファストファッションにおいては、シーズンを52に分けているところも……。一週間に一回のペースです。こうしてファッションに賞味期限を設けたことが、「ファッション界は、環境負荷をかけるトップランクの産業」と言われる一因なのです。

それでも最近は、素敵な未来も見えてきました。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のクリエイティブ・ディレクターに就任したダニエル・リー(Daniel Lee)は、「ジェンダーフリーを目指し、在庫を極力持たないためにシーズンレス」を掲げ、日々奮闘していることで認められてきたと聞き、「ついに変わってきたな!」とワクワクすることも多いんです。

ファッションを生物に変えてしまった私たち。けれど、そんな風に日々思いを巡らせる私自身、購買意欲をなくしてしまったわけでもなければ、ファッションが大好きで新しいモノが大好き(笑)!センセーショナルなモノが大好物です。私は、サステナブル・ファッションがセンセーショナルだから魅了されているのかも。シーズンに囚われるのではなく、自分のアイデンティティに合った服選びをすればいいだけなのです。

自分のアイデンティティを見つけるのは、とても難しい。でもわからないままだったり、アイデンティティ探しを楽しめなかったりすると、あなたも「シーズンごとに買わされるだけ」の浪費の多い人生になってしまいますよ!!

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