ファッション
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

販売・接客のサステナブルアクション マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」 Vol.23

 最近、販売員の子からいくつかの質問を頂戴した。「エコなライフスタイルが好きなのに、仕事は、多くの人にモノを買ってもらうこと。何か違う気がする」とのこと。「モノを売ることは、サステナブルじゃない」と思っている方は多いが、それでは経済は回らず、それこそサステナブルじゃない。何を作り、どう売るか、そして、どう捨ててもらうかまでを変えることが重要だ。

 私のブランド「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS=以下、PMD)」では、買う時のきっかけや選択肢も提案する。従来の接客は、そのアイテムがどう作られたかなどの背景やトレンド、お客様との相性などをベースに商品をお薦めする。もちろん全てが重要だが、「PMD」ではもう一つ取り組んでいる。象徴的なのは、“toastTシャツ”プロジェクト。デザインは同じTシャツを3種類の異なる生地で製作、つまり3つの選択肢を作ったのだ(現在は全て完売)。

 用意したのは、①アルティメットスピマコットンのTシャツ(税込2万1780円)と、②完全生分解性Tシャツ(同1万4080円)、そして③100%リサイクルポリエステルTシャツ(同1万780円)の3つ。順番に「『PMD』のデビュー時から使用している、耐久性が高くて、長く使える高級オーガニックコットン」「生地はもちろん、縫い糸、タグに至るまで全てが生分解性で土に還る。手放す時に(できるだけ手放して欲しくはないが)背中のラベルを外すと出てくるQRコードを読み込むと出てくる指定の場所に着払いで送っていただくと、特別な堆肥所に埋められ、約半年でそのほとんどが堆肥に変わっていくという素材」、そして「さらっとした着心地が特徴の、ペットボトルから出来ている再生生地」を使用したTシャツだ。

 それぞれは、値段も違う。どの商品も環境に配慮しているが、購入する時に何を大切にするかは人それぞれ。長く着たい人もいれば、捨てる時・手放す時を考える人もいる。もちろん、値段や素材感で選ぶこともある。

 このコンセプトは、お客様一人一人が一瞬考える時間を作ろうと編み出したものだ。今までは、色やサイズで悩んでいたが、新しい観点から「自分にあったものは、一体どれだ?」と金銭面やライフスタイル・性格を含め、新しい選び方を楽しんでくれたらと思い提案した。仮にどれも選ばなくても、ふと思い出してもらえたらいいなという願いも込めた。知識を紹介することも、販売・接客において大切なサステナビリティだ。サステナブルは、商品を作る・買う・捨てるの3点ばかりに注目が集まるが、育てる、働く、作る、届ける、洗う……など、あげたらキリがない。我々の全ての行動が関係していることを忘れてはいけない。

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