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百貨店「高級品」めぐり駆け引き 三越伊勢丹が“豪奢品”の販売とりやめ

 東京都の休業要請を受けて、百貨店のラグジュアリーブランドの扱いが揺れている。都内の百貨店は営業が認められる「生活必需品」の範囲を広げることで、12日以降は衣料品やラグジュアリーブランドを含めて実質的な営業再開に動いていた。だが、東京都および小池百合子知事が「高級衣料品は生活必需品に当たらない」と釘を刺したため、苦肉の策を強いられている。

 三越伊勢丹は19日から伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店など都内4店舗でラグジュアリーブランドの販売を見直す。各ブランドの売り場の営業は継続するが、扱う商品の中で東京都が指摘する「豪奢品(ごうしゃひん=並外れてぜいたくな品)」の販売を中止する。宝石がついた時計やドレスなどが対象になるもようだが、具体的に何を豪奢品とするかは同社と各ブランドが協議して決める。どれだけの品目の販売がとりやめになるかは未定だ。

 既報の通り、そごう・西武の西武池袋本店と西武渋谷店はラグジュアリーブランドの売り場を20日から休業する。ラグジュアリーブランドの売り場は14日に営業再開したばかりだったが、1週間で再び休業することになった。

 大丸松坂屋百貨店の大丸東京店は、16日にラグジュアリーブランドを含めた大部分の売り場を再開した。一般的なアパレルの売り場が通常の受け入れ態勢になっているのに対し、ラグジュアリーブランドは売り場の入り口にパーテーションを張り巡らし、基本的には事前予約した客だけを入れる態勢をとる。

 4月25日の緊急事態宣言に伴う東京都の商業施設への休業要請は、人流抑制がそもそもの狙いだった。ただ、消費者の日常生活に欠かせない「生活必需品」は休業要請の対象外とされた。この生活必需品の定義は不明確で、解釈は商業施設側に委ねられた。百貨店各社は当初、食品と化粧品くらいの営業にとどめていた。だが、都による休業要請が5月12日以降も継続されることが発表されると、顧客の要望や経営へのダメージを勘案して大部分の売り場再開に踏み切る店舗が相次いでいた。これを問題視した東京都は日本百貨店協会に対し、生活必需品について適切に対応するよう要望書を12日付で送付して牽制した。

 大義名分だった人流抑制が、いつの間にか「生活必需品」の線引きや「高級衣料品」の解釈へのねじれ現象になった。東京都の要請と百貨店の苦肉の策は、感染抑止という本来の狙いとはかけ離れた方向に向かっている。

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