ファッション

廃棄ジーンズ20トンを買い取りリメイク販売 町工場の“覚悟”に大手百貨店が共鳴

 東京・足立区のヤマサワプレス(山澤亮治社長)は、アパレル製品のアイロン仕上げや検品などを主な業務とする、従業員数人の工場を営む。そんな小さな町工場が2021年春、計20トンにも及ぶ廃棄寸前の「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズ“501”を海外の業者から買い取り、リメイクして販売するプロジェクトに乗り出した。三越伊勢丹や阪急阪神百貨店といった大手百貨店の協力も取り付け、業界に大きなうねりを生み出そうと奮闘している。

 現在、クラウドファンディングサイト「レディーフォー(READYFOR)」で500万円を目標金額とする資金調達を5月28日まで行っている。20トンのジーンズから再利用可能なものを仕分け、洗浄するだけでも膨大な手間がかかる。今回の調達資金も、そのほとんどは人件費に費やされる予定だ。回収したジーンズには、比較的状態がいいものもあれば、擦り切れていたり、頑固な汚れがついていたりと玉石混交。小さくカットされた部品なども混じっているが、そのすべてをリメイクのデザインとして生かせるか選別する。その後の洗濯なども含め、すべての工程でヤマサワプレスの職人が作業にあたる。

 ヤマサワプレスはビンテージ品や軍用品などの輸入卸業も手掛けている。今回のプロジェクトは、山澤社長が2019年6⽉、その買い付けのために渡米したことがきっかけになった。ロサンゼルスの古着店やフリーマーケットを回り、ある市場で廃棄寸前の大量の“501”ジーンズに出合った。“501”は山澤社長が中学生の時から穿き続けた、思い入れのある一本。そのジーンズがうずたかく積み上がった光景に、「使い道を考えるよりも、『何とかしたい』という思いが先走った」。これらは状態の悪さがゆえ、他の業者も回収を断念したものだったが、思い切って買い付けを決めた。

 今年4月には足立区竹ノ塚に倉庫を一棟借り、買い付けたジーンズをストックするとともに、リメイクジーンズのショップをオープンした。バギーやフレアシルエット、パッチワークデザインなど、“501”をベースに生まれ変わったリメイクジーンズ(1万3000円〜3万円)が並ぶ。数本のジーンズをつぎはぎして作ったスカート、ドレスなども製作した。山澤社長の「世代を問わず、さまざまな人に手にとってほしい」との思いが込もる。商品は全てリーバイスジャパンから、“501”の商標使用の許諾を得た上で、製作・販売している。

 仕入れたうち、15トン以上のジーンズが未だ手付かずのまま倉庫に積み上がる。今後、長い歳月をかけて徐々に減らしていくという。「“服を捨てないこと”を自分ごと化する入り口はたくさんある。リメイクデニムを穿くことがきっかけになればうれしい」と山澤社長。「われわれは小さな下請け会社だが、川中や川下からワクワクするストーリーを仕掛けられれば、業界はもっと面白くできる。そんな気概で取り組んでいきたい」。

大手百貨店2社が協力
デザイナーとのコラボを模索

 
 このプロジェクトに賛同しているのが、三越伊勢丹と阪急阪神百貨店だ。大手百貨店ならではのネットワークを駆使して、さまざまなアパレルデザイナーやメーカーとの協業の可能性を模索する。すでに国内外のコレクションシーンで活躍するデザイナーとのコラボによるリメイクジーンズの製作が進行しており、今後両百貨店の売り場で販売する予定だ。

 山澤社長に協業を持ちかけた神谷将太・伊勢丹新宿本店「リ・スタイル」バイヤーは、「リスクを取ってでも20トンのデニムを買い付けて、業界に自分たちのメッセージを発信しようという姿勢に共感した」と話す。「私たちはたくさんのお客さまとつながり、世界中のブランドやデザイナー、職人や工場とつながれるからこそ、このプロジェクトに力添えできることもある。過剰生産や大量廃棄といった課題の解決には、当社だけでは限界がある。規模の大小や競合を問わず、業界の枠組みを超えた連携で向き合っていくことが必要だ」。

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