ファッション

文化オープンカレッジに下着に特化した特別講座 業界と若手をつなぐ架け橋に

 一般社団法人日本ボディファッション協会(以下、NBF)は2019年5月に「女性下着のデザイナー・パタンナーを目指す方の特別講座」を開講した。同講座は文化服装学院 生涯学習が主催。受講生の募集や教室などを提供し、「BUNKAオープンカレッジ」の一環として開講している。NBFはカリキュラムの作成や講師の手配を行う。

 最近、独立系ランジェリーブランドがメディアで取り上げられることが多く、下着デザイナーに憧れる若者も少なくない。その一方で、服飾専門学校を含め下着のデザインやパターンについて本格的に学ぶ場がないのが現状だ。同講座は業界の第一線で活躍する講師陣による実践的な指導をモットーに、下着の専門知識を学ぶ場、そして下着業界と受講生をつなぐ場となることを目指している。

 「女性下着のデザイナー・パタンナーを目指す方の特別講座」の受講生は文化服装学院や都内服飾専門学校の学生、NBF会員企業の入社1〜2年の社員など約20人。全10回の講座で、デザインの基本的な考え方、CADを含むパターンメーキング、MD、イラストレーターやCGを使うデザイン、メーカーのショールームを訪ねる課外授業など実践的な内容だ。NBF会員企業を中心とする講師陣の、現場での経験を交えながらの指導は受講生にとって貴重な経験だ。19年10月に同講座を修了した1期生の中には、21年4月にNBF会員企業への就職が内定したり、自らのブランドを立ち上げた受講生もいる。

 20年の2期生はコロナ禍で当初の予定よりスタートが5カ月遅れたが、12月19日の最終講義日には受講生が制作したブラジャーやショーツのプレゼンテーションが行われ、業界関係者により最優秀スチューデント賞が1人、優秀賞が2人選出された。

 同講座を開講するきっかけについて同協会の西谷正専務理事は、「業界内や学校関係者へヒアリングする中で、ほとんどの学生がインナーウエアの企業の存在さえ知らず、就職希望者もほとんどいないことがわかった。現場でも人材育成が進んでなく、このままでは業界全体が縮小すると危惧した」と語る。「学生に下着業界に興味を持ってもらえる継続的な活動を実施してほしい」という声も多かったことから、下着について学ぶ講座開講に向けて17年秋にチームを結成。下着業界で活躍する若手人材の育成を目標に、1年半にわたってカリキュラムを作成し、講師陣を集め、19年5月に開講した。受講生からは、実践的な講義内容を評価する声や、ネットでは知り得ない情報が得られると言った感想があるという。NBF会員企業からは熱意のある受講生の入社を希望する声があり、受講生と企業をつなげる仕組みが徐々に出来つつある。

 今後の目標は下着メーカーが多い関西地区での開講と、下着を学ぶ授業を服飾専門学校のカリキュラムに取り入れてもらうことだ。21年5月には3期の講座がスタートし、学校やNBF会員企業を通じて定員20人の募集が始まる。2期の講座には定員の倍以上の募集があったが、使用するパソコンの数や丁寧な指導を考慮すると20人が限界という。

 若年層を中心に下着をファッションの一部として楽しむことが定着しつつある。学生だけでなくスタイリストなどファッション関係者の間でも下着ブランド設立の関心が高い。ただ下着のデザインとなると、使用する素材やパターン・縫製技術が服とは異なり専門性が高過ぎて新規参入が難しいのが実情だ。同講座のような下着を専門的に学ぶ場が増えることで裾野が広がり、業界全体が活性化するのを期待したい。

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