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シャネル、約730億円相当のグリーンボンドを発行 初めて公開市場で資金調達

 シャネル(CHANEL)は9月24日、およそ6億ユーロ(約738億円)相当の環境目標連動債を発行した。これは環境に関連した目標の達成度合いによって支払い利息が変動する債券で、サステナビリティに取り組む企業の新たな資金調達の手段として注目されている。

 同社は最高経営責任者であるアラン・ヴェルタイマー(Alain Wertheimer)とその一族が所有する非上場企業で、公開市場での資金調達はこれが初となる。そのためか今回の社債は非常に人気で、募集を大きく上回る応募があったという。同社債の主幹事は大手金融機関のHSBCとBNPパリバ(BNP PARIBAS)が共同で務め、ルクセンブルク証券取引所で取引される。資金はサステナブルな素材を開発しているスタートアップへの投資や、サプライヤーに再生可能エネルギーへの転換を促すためのインセンティブ、新たな再生可能エネルギー開発プロジェクトの支援などに充てられる。なお、公開市場で環境関連債を発行した非上場のラグジュアリー企業はシャネルが初めてだ。

 同社は気候変動に関する取り組みとして、「シャネル ミッション 1.5(Chanel Mission 1.5以下、ミッション)」を2020年3月に立ち上げた。これは15年に採択された気候変動の抑制に対する国際的な枠組みであるパリ協定の目標値に則ったもので、名称の“1.5”は同協定が定めた「世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑える努力をする」という条項に基づいている。

 このミッションは、30年までに同社の二酸化炭素排出量を50%削減すること、25年までに再生可能エネルギーに100%切り替えること、排出した二酸化炭素の相殺、気候変動に関する取り組みへの投資や支援という4つの柱で構成されている。シャネルが今回発行した環境目標連動債は、こうした目標値を達成できなかった場合に、利息に加えてキャッシュプレミアムを償還日に払うという仕組みだ。同社は目標値の達成度合いを毎年発表し、第三者機関による監査も適宜行う。

 フィリップ・ブロンディオ(Philippe Blondiaux)=シャネル最高財務責任者は、「環境目標連動債を発行することでサステナビリティに関連した発行市場の発展を支援すると同時に、調達した資金でより多くの社会的および環境的な問題の解決をサポートしたいと考えた。最近は、こうした種類の債券に投資することで気候問題への取り組みを支援できるという認識が投資家の間に広まっているので、彼らと協働することを楽しみにしている」とインタビューで語った。なお、これを機に新規上場を検討することはあるかという質問に対しては、「その予定はない。現在の資金状況に十分満足している」と答えた。

 最近は資金調達面でも環境保護を意識している企業が増えており、バーバリー(BURBERRY)も、使途をサステナビリティに特化した3億ポンド(約408億円)相当の社債を9月9日に発行した。これは上場しているラグジュアリー企業として初めてで、同社債はロンドン証券取引所で取引される。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ(VANS)」などのブランドを擁するVFコープ(VF CORP)も、5億ユーロ(約615億円)相当のグリーンボンドを2月に発行した。

 またプラダ(PRADA)、サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)、モンクレール(MONCLER)は、サステナビリティ・リンク・ローンと呼ばれる、金利などの貸付条件にサステナビリティに関する目標値の達成度合いを連動させた銀行融資を受けている。

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