顧客から支持を集める販売員・美容部員には共通点があるはず。共に丁寧な接客で好評の長洲晴美「ジェット」そごう千葉店店長(ワールド)と、中島のぞみ「SHISEIDO グローバル フラッグシップ ストア」ビューティコンサルタントが接客のプロとして語り合う。顧客から支持を集める販売員・美容部員とは。(この記事はWWDジャパン2020年9月7日号からの抜粋です)
WWDジャパン(以下、WWD):着実にキャリアを築いてこられたお二人ですが、新人時代はどうでしたか。
長洲晴美「ジェット」そごう千葉店店長(以下、長洲):洋服好きが高じて入社したのですが、想像以上に業務は多いし、力仕事でもありました。入って1、2年は、全然売ることができず、モチベーションを上げることが難しかったです。ターニングポイントは、入社2年目の終わりのころ。最初に勤めたセレクトショップで取り扱っていたブランドの一つを任されたこと。どんな見せ方をすれば良いのかを考えるなど、これまでとは違う神経を使うことを覚えました。そして、自分の売りたいものが売れたときの楽しさとお客さまの喜んでくれる姿に自信をもらいました。
中島のぞみ「SHISEIDO グローバル フラッグシップ ストア」ビューティコンサルタント(以下、中島):長洲さんと同じで、私も化粧品が好きで入社しましたが、入社当時は自分の化粧品に対する思いや好きなところを主観で話していただけでした。なので購入していただけないことも多かったです。その後、試行錯誤して、お客さまの好みや環境に応じた具体的な使い方を提案するうちに、納得した上で購入していただけることが増えていきました。頭では理解していても実践できるとは限らないものですね。
WWD:接客において気をつけていることや、必ず行っていることなどはありますか。
中島:お客さまの要望を早い段階で確認すること。その際にこだわりのポイントを見つけることを意識しています。それらをまず共有できれば最適なアイテムや方法にたどり着くことができます。中には話しかけられたくないという人もいるので、私はアプローチの段階で一言声をかけて反応を見ます。お客さまの表情などから、少しでも“違った”と感じた場合は、引くようにしていますね。
長洲:私も最初の「いらっしゃいませ」のあいさつでお客さまのリアクションを見ます。それから、その日の全身のスタイルや雰囲気を少し離れたところから注意深く観察することも心がけていることの一つです。
WWD:商品を提案するときのポイントは?
長洲:大別すると、甘くてかわいい、カジュアルめ、きれいめ、かっこいいなどになるでしょうか。ざっくり分けた第一印象を見ながら、その日のバッグや靴、アクセサリーなどを分析して意外とこういうものも好きかも、と思ってもらえるものをさりげなく提案するようにしています。
中島:ファッションもメイクと同じだと思うのですが、本当の要望、つまり本心をお聞きすると、見た目から受けた印象とは逆のリクエストをいただくこともあります。全く違うものに挑戦したいと思っている人もいて、自分には難しいメイクだけれど、チャレンジしてみたい、などと言った声を聞きます。もちろんお客さまに抱く最初のイメージと大きく違わないことが多いのですが、いろいろなニーズがありますから。
WWD:ファッションからメイクの、メイクからファッションの嗜好を読み取るのは難しい?
中島:ファッションのトレンドをしっかりキャッチしている人は、メイクのトレンドにも敏感です。「最新のメイクアップ」や「秋冬のトレンドカラー」などのキーワードでお話しすると、ときめかれているのを感じますし、深い色のリップと濃いめの眉を提案するとよい反応をしてくださいます。そのたび、ファッションとメイクはリンクしていると感じます。
長洲:私もそう思います。おしゃれな人はコスメにもアンテナを張っていて、詳しいと感じることが多いです。「この洋服に新作のあのリップをつけるのはどうでしょう」などコスメとファッションを一緒に提案することもあります。接客の中でファッション以外の話もできることは素直に楽しいですし、その会話からパーソナルな部分を知ることもできます。
WWD:それぞれの立場から、どのような考え方で日々店頭に立っていますか?
長洲:店長である私1人が頑張るのではなく、スタッフたちがいかに楽しく、モチベーションを高く保ちながら働ける環境であるかが大事です。特に、このコロナ禍ではこれまでのようにはいかず、数字も伸びにくいのが現状です。だからこそ、意識して良いところに目を向け、スタッフの言動を細かく見て、良いと思えるところを伝えるようにしています。
中島:旗艦店はデジタルテクノロジーを取り入れたお店ですが、接客する上で行うべきことはこれまでと大きく違わないと考えています。メイクアップは複数のパーツによって構成されていますが、それら全てを紐付けて提案し得るのが私の仕事ですし、そのために重要になるお客さまとの確認と共有は意識して行っています。旗艦店は7月末のオープンから間もないですし、銀座にはたくさんの資生堂の店があるので、ここで接客を受けたいと思ってもらえる店に育つように支えになりたいです。
出勤時のマストハブアイテムは?
毎日店頭に立つ2人は、客はもちろん共に働くスタッフのフォローにも忙しい。アイテムからはこだわりやリフレッシュ法が見てとれる。
手書き派の長洲店長は、店長会や気づきなど部下に伝えることはノートに書き留めるという。応対のための歯磨きグッズも必需品だ
中島ビューティコンサルタントはリフレッシュミストと旗艦店2階でスキンケアレッスンを受講すると購入ができる「インナービューティ セット」のオイルなどで休憩時にリフレッシュしているという
似合いそうな自ブランドの
アイテムは?
今回の対談はZoomを使用して約40分間語り合ってもらった。画面越しで初対面の2人だったが、それぞれのブランドでお互いに似合いそうなアイテムを選んでもらった。長洲店長は秋の始まりに1枚でも、さらっと羽織っても重宝するシャツを提案。中島ビューティ コンサルタントは、シーンを選ばずにファッションとの相性も抜群の華やかな輝きのあるベージュのワントーンメイクをかなえる3つのアイテムをピックアップ。
「コットンオープンカラーコーデュロイシャツ」(1万1000円)。休日のリラックスしたムードのメイクにもぴったり
渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している