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エイチ・ツー・オー荒木新社長 新型コロナ禍で「リアルとデジタルの融合進める」

 エイチ・ツー・オー リテイリングの2020年3月期連結業績は、売上高が前期比3.2%減の8972億円、営業利益が同45.3%減の111億円で、純損益は131億円の赤字だった。主力の百貨店事業で下期(4~9月)の暖冬、増税の反動による衣料品販売の不振、新型コロナによる店舗の短縮営業・休業が響いた。事業構造改革を進める総合スーパー(GMS)のイズミヤの収益性回復の遅れなどで特別損失228億円も計上し、最終赤字となった。一方、足元では基幹店を含む百貨店の再開が始まっている。4月に就任した荒木直也新社長は、「これから社会は日常の暮らしを取り戻し、生活を楽しむ段階へとステップを踏むことになる。ようやく明るい兆しが見えてきた」と話す。

 阪急阪神百貨店の百貨店事業は売上高が前期比4.3%減の4732億円、営業利益が同35.9%減の114億円だった。増税・暖冬による販売不振(10月~1月)は売上高で115億円、営業利益で20億円のマイナスで、コロナによる営業時間短縮・入国制限(2~3月)は売上高で220億円、営業利益で38億円のマイナス影響があったと試算する。衣料品カテゴリーの売上高は前年同期比4.6%減の1208億円だった。

 総合スーパーのイズミヤ、阪急オアシスなどの食品事業は、店舗建て替えに伴う一時休業などにより、売上高が3.7%減の3541億円、営業損益が25億円の赤字だった。食品が営業利益24億円をかせぐ一方、営業面積で7割を占める衣料・住居関連が55億円の営業赤字と足を引っ張った。

 新型コロナの影響により今後の見通しが立たないとして、21年3月期連結業績予想の開示は見送った。4月の百貨店の既存店売上高は、食品フロアを除く全面的な休業で前年同月比8割減と深刻なダメージを受けた。だが首都圏を除く緊急事態宣言の解除に伴い、阪急うめだ本店、阪神梅田本店などリアル店舗11店の平日営業を5月21日に再開。今週末(30、31日)からは休日営業も再開する。

 荒木社長は、コロナショックを契機とした消費者の新しい生活様式への変化に対応するため、百貨店事業におけるオンラインとオフラインの融合を推進する。「(コロナショックにより)お客さまのライフスタイルの変化が4~5年分早まっている。当社もリアル店舗第一という現場の意識を変え、売り場とデジタルにかける投資のバランスも変えていく。今後は店頭、ECといった場所や時間を選ばず消費をするスタイルが定着していく。販売員と売り場がオンラインとオフラインの双方に介在し、お客さまと24時間密につながる仕組みを整えたい」とする。

 また、EC単体での強化も進める。4~5月のEC売上高は前年同月比4倍で推移した。「足元ではEC上で実施するイベントが爆発的な人気を博している。百貨店ならではのカテゴリー横断型のイベントなどを強化し、他社のECと差別化する」。

 そのほか期中の取り組みとして、イズミヤでは足を引っ張っている衣料住居関連販売エリアのテコ入れのため、19年12月に立ち上げたドラッグストアのココカラファインとの合弁会社CFIZの主導により、各店に美容・ドラッグ、日用雑貨などを集積した売り場を導入する。20年秋オープンを予定していた寧波阪急は、新型コロナの影響で開業時期の変更を検討する。