「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」のウィメンズのショー会場には、簡単に言えば異性からも同性からもモテそうな男女が集まる。女性なら健康的に肌を露出し、ネオンカラーを堂々と着こなし、自信に満ちている。トレンドとの付き合い方も上手だ。ファッションを素直に楽しんでいる様子で、会場のムードは熱気がある。
今月パリで発表された2019-20年秋冬コレクションの会場で、観客の多くは「オフホワイト」が得意とするストリート&スポーティーな格好をしていた。春夏のショーは、現役アスリートをモデルに迎えて「ナイキ」とのコラボアイテムを多く発表するなど、スポーツマインド全開だったから当然だ。しかし、次の秋冬に向けて、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)=クリエイティブ・ディレクターからの提案は、クラシック&エレガンスの濃度がぐっと高まっている。
着想源はカーレース。ヴァージルの故郷である米国イリノイ州ロックフォードのスピードウェイだ。「今はスポーツに関心はないよ。その考えに僕らは疲弊しちゃったからね。今興味があるのは男性優位のニッチなカルチャーだ」とヴァージル。確かにレースは今も“男の子”の世界。その要素をウィメンズに持ち込むことで新境地を開いた。ベースとなるのは、秋冬トレンドど真ん中であるテーラードやトレンチといった定番アイテム。トレンドセッターのヴァージルがそれらをどう料理をしたのか見てみよう。
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わかりやすいのはチェッカーフラッグ使い。ホラーチックなプリントのパンツに合わせたトップスは袖口と身頃の一部のチェックのサイズと角度を変えてアクセントにしている。こういったグラフィックの遊びがヴァージルは上手い
マリアカルラ・ボスコーノの手にもチェッカーフラッグ仕様のキルティングバッグ
一見クラシックなフェイクファーのコートもチェッカーフラッグ風。そしてシートベルト風のベルトもポイントに
中央のモデルのドレスはアシンメトリーな裾がセクシーだが、襟元はレーサーのユニホーム風
今季のトレンドであるテーラードがヴァージルの手にかかるとこうなる。レーシングカーのボディーのような光沢あるシルバー素材で全身統一
テーラードのコートはボタンではなくスナップ使い。腰の切れ目からパンツのネオンカラーがちらり
キーアイテムのひとつがこのワンピース。フェミニンなカッティングだがTシャツをレイヤードしてカジュアルにアップデート
黒バージョンのワンピースとTシャツのレイヤード
人気のバッグはかっちりとしたフォームにモコモコ素材で遊ぶ
これもバッグ。その名も“ハンドル”
ハイヒールもモコモコ
「オフホワイト」のバックステージはエネルギッシュで明るく、モデルたちのハイテンションがそのままショーのパワーになっている。今季は他のショーではあまり見かけなかった、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)も妹のベラ・ハディッド(Bella Hadid)と登場。男性優位の世界を軽々と自分のものにしてしまう「オフホワイト」ウーマンは頼もしく、やはりモテそうだ。
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