出版業界の調査や研究を手掛ける出版科学研究所によると、2015年の紙媒体の推定販売額は前年比94.7%の1兆5220億円で、同研究所が1950年に調査を始めてから過去最大の落ち込み。なかでも雑誌は特に深刻で、同91.6%の7801億円だった。ピークの96年と比べると、出版市場は6割以下に縮小。一方で、電子出版の市場規模は電子書籍の点数増と、NTTドコモが手掛ける月額400円の雑誌160誌以上の読み放題サービス「dマガジン」の売り上げが好調で前年比131.3%の1502億円と大幅に伸長。数字で見ると、改めて紙媒体離れが進んでいるのが分かる。
休刊する雑誌もどんどん増えている。昨年からさらに“青文字系”女性ファッション誌「セダ」(日之出出版)や、30代以降のビジネスマンをタゲットにした「ゲイナー」(光文社)など、約40誌が休刊した。販売部数の低下はもちろん、それに伴い広告出稿の減少も歯止めがかからない悪循環に陥っている。このまま雑誌が無くなることはないだろうが、もはや「紙 vs デジタル」という構図ではなく、出版社が生き残るには情報の流通を含めたデジタルの有効活用法を見つけるのが急務というところまできている。
今回取材した雑誌の編集長の多くも「ウェブの強化」を口にしていた。しかし現実は、まだほとんどが試行錯誤をしている段階で、手つかずの媒体もある。SNSの活用もいろいろな可能性を探りながら、まだ模索している印象だ。早くからウェブ強化の施策に取り組む媒体は、デザインの大幅リニューアルやコンテンツアップのスピード感などを強化し、PV数を順調に増やしてはいるものの、そのPV数をどう金銭に変えるかという答えが見つかっていない。まだまだ資金を投じて人員を確保するほどの余裕はなく、どこも人手不足の状態だ。現場ではこれまで紙を主戦場として活動してきた編集部員の仕事量が増え、日々雑誌の校了と、スピードが求められるウェブ記事のアップ作業に追われている。
とりわけ、最先端のトレンドを意識したファッション誌にとっては厳しい状況だ。現在は情報の送り手と受け手の力関係が逆転しつつあり、SNSのさらなる隆盛により世界中から最新情報をいち早く得ることができる他、紙の雑誌を買う世代の縮小などによって雑誌を不要と思う消費者も少なくはないはずだ。