PROFILE: トッド・カーン=コーチ社長兼CEO

タペストリー(TAPESTRY)が擁する「コーチ(COACH)」が快進撃を続けている。一時は米国市場の減速や値引きによるブランド価値の毀損などの影響で苦戦していたが、事業戦略を練り直し、コロナ禍後に施策を相次ぎ打ち出したことで再び成長軌道に乗っている。ブランド再建を成功裏に導いたのが、2008年に入社し、21年にトップに就任したトッド・カーン(Todd Kahn)社長兼最高経営責任者(CEO)だ。同氏にターゲット層の絞り込みに至った理由やそれに伴うブランドのポジショニングの進化、今後の展望などについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月7日号からの抜粋です)
「コーチ」のほかに「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」を傘下に持つタペストリーの2026年6月期決算は、売上高が前期比14.2%増の80億420万ドル(約1兆2726億円)、営業利益はおよそ4.5倍(同361.3%増)の19億1440万ドル(約3043億円)、純利益は8倍以上(同733.9%増)の15億2770万ドル(約2429億円)だった。大幅な増益は、24年11月にカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の買収を中止したことに伴う負債の償還などを25年6月期に計上し、大幅な減益となっていたことによる。ブランド別での売上高は、成長エンジンである主力の「コーチ」が引き続き好調で、同23.5%増の69億1470万ドル(約1兆994億円)で着地。コロナ禍後に北米の需要が急激に低下した際には減収に転じたが、22年度は同0.79%増、23年度は同2.7%増、24年度は同9.8%増と着実に回復した。
28年には年商100億ドル(約1兆5900億円)を目指すとしている同ブランドは、1941年に6人の職人がニューヨークで開いたメンズ向けの革小物工房に端を発する。後に野球グローブ用の革でウィメンズ向けのバッグを製作すると、丈夫で使いやすいと評判となった。61年には、スポーツウエアの先駆者であるボニー・カシン(Bonnie Cashin)をデザイナーとして起用。カーン社長兼CEOは、「彼女は紙製のショッピングバッグを見て、『これをレザーで作ったらおしゃれで使いやすいバッグになるのでは?』とひらめくなど、日用品をラグジュアリーに格上げする名人だった。『コーチ』のルーツは、こうした実用的な日用品にある」と語る。
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