NIGOがアーティスティック・ディレクターを務める「ケンゾー(KENZO)」はこのほど、東京・原宿で2026-27年秋冬コレクションを販売するポップアップストアをオープンした。会場では、ブランドを創業した高田賢三の邸宅に着想を得て、竹林や池などを再現した。日本では今年、住吉宏史氏がケンゾー・パリ・ジャパン プレジデントに就任。「『ケンゾー』という名前に聞き馴染みはあるけれど、ファッションが想像できない人たち」に向けて、改めてスタイルから歴史までを発信したいという。ポップアップも、その一環だ。住吉プレジデントに話を聞いた。
PROFILE: 住吉宏史/ケンゾー・パリ・ジャパン プレジデント

WWD:日本を担当するプレジデントに就いた「ケンゾー」の魅力をどう捉えている?
住吉宏史ケンゾー・パリ・ジャパン プレジデント(以下、住吉):文化服装学院出身の私にとって、(同校で服飾デザインを学んだ)高田賢三さんはレジェンド。そしてブランドは2021年から(同じく同校を卒業した)NIGOさんが手がけている。文化の卒業生として、日本人がパリで成功して生まれ、世代が変わっても先輩がクリエイションを担っているブランドに携われる幸せとアツい思いを持っている。
ブランドは1970年台にウィメンズからスタートし、その後メンズやキッズ、ジーンズなどカテゴリーと事業を拡張した。一時はベッドリネンや家具なども手がけ、「ケンゾー」という名前は世界の家庭に入り込んでいると思う。聞き馴染みはあるけれど、ファッションが想像できない人たちに向けてもう一度、認知を高めていきたい。
WWD:「ケンゾー」というブランドのファッションの認知を高めるために必要なことは?
住吉:今はメンズのシェアが大きいので、まずはウィメンズ、特にバッグやシューズ、アクセサリーなどにフォーカスし、継続して作り続けていくことが大事だ。ウエアでは「ケンゾー ジーンズ」の時代を踏まえ、デニムにフォーカスしたい。NIGOさんは、「ケンゾー」のDNAを大事にしながら、アイビーに代表される自身のオーセンティシティ(信憑性)を加えていると思う。
WWD:改めて「ケンゾー」のDNAとは?
住吉:70年代のパリコレ以来変わらず、「ケンゾー」はみんなを楽しくさせるブランド。明るく、華やかで、フローラルや動物のモチーフに溢れている。ポップアップで販売している洋服のフローラル刺しゅうなども、アーカイブからインスピレーションを得ているものだ。当初からファッションショーのモデルは笑顔を絶やさず、時にはダンスをしながらランウエイを闊歩していた。そんなイメージが若い世代にも浸透していけばと思う。
WWD:今は、いわゆるアフォーダブル・ラグジュアリーな価格帯のブランドだ。
住吉:世界的に商品価格が高騰している中、「ケンゾー」はLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の中で唯一、オープンかつ幅広いジェネレーションが楽しめるブランドとして、この価格帯を維持している。パリでもオープンスペースで一般の人をイベントに巻き込むなど、街行くみんなに見てもらいたいという思いの中、皆をハッピーにするイベントを開催している。
WWD:そんな中で、このポップアップなど、ジャパン社が担う役割は?
住吉:「ケンゾー」とはどんなファッションブランドなのか?というイメージが薄れているので、ホームに帰還する感覚で、ヘリテージやレガシーをNIGOさんのフィルターを通して世の中に届けていきたい。とはいえ「ケンゾー」は、あくまでパリのブランド。フレンチシックとジャパニーズクールの掛け合わせは、昔から変わらない。その上でバッグやシューズ、革小物など、ブランドを象徴するアクセサリーが足りないので、ラインアップを拡充したい。