本特集では、西陣織のHOSOOが日本文化の基層を成す繊維である絹と大麻を原料から手掛け、新たな産業の創出に挑む試みを紹介する。また、HOSOOが目指す、素材の個性を生かす工芸的なモノ作りを最新技術で実装する「Future Craft」という思想にも迫る。ここで強調しておきたいのは、本特集が単なる伝統工芸の継承をテーマとしたものではないという点だ。HOSOOの取り組みは、歴史や文化を未来の産業へどう生かすか、人と自然、テクノロジーをどう結び直すのかという普遍的な問いへの答えである。それは工芸という領域を超え、あらゆる分野で未来の価値創造を考える人にとって、新たな視点を提供するはずだ。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月13日号からの抜粋です)
資本としての歴史、未来を織るテクノロジー
HOSOOのビジネスの核には美の追求がある。その追求の先に行きついたのは、織物だけにとどまらず、人と人、人と文化、そして自然とテクノロジーや伝統と革新といった本来は切り離されてきたもの同士の関係性を含めて「織る」ことへと広がっていった。細尾真孝社長は、それこそが自らの役割だと考えるようになったという。
現在、サステナビリティの概念を条件づける主要な目標にはSDGs(持続可能な開発目標)がある。これは「経済」「環境」「社会」のバランスよい発展を目指すもの、という意味で理解される。
その各目標やターゲットに文化への付随的な言及は見られるものの、文化それ自体を中心に据えた目標はSDGsには存在しない。しばしば経済と文化は切り離されて考えられるが、持続可能な開発を考える上でも、その価値判断の基盤として文化は欠かせない。
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