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エスティ ローダーとプーチの統合はなぜ破談したのか 越えられなかった3つの壁

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エスティ ローダーとプーチの統合破談 「エスティ ローダー」とプーチが擁する「キャロリーヌ ヘレラ」の商品 COURTESY OF ESTEE LAUDER, PUIG ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING< LLC[/caption] エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、エスティ ローダー)とプーチ(PUIG)による大型統合構想は、世界最大のプレステージビューティ企業誕生への期待と共にスタートした。しかし約2カ月にわたる協議の末、両社は5月21日(現地時間)、正式に交渉終了を発表した。(この記事は「WWDJAPAN」2026年6月22日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)

 
統合が実現すれば、両社の合計売上高は200億ドル(約3兆2000億円)超となり、ロレアル(L'OREAL)を除くプレミアムビューティ市場で最大規模の企業グループが誕生するはずだった。ローダー家とプーチ家は何世代にもわたって交流がある。エスティ ローダーはスキンケアやメイクアップに強みを持ち、プーチはフレグランス領域で圧倒的な存在感を誇る。地域的にも、エスティ ローダーが北米とアジアで強く、プーチが欧州と中南米で強いことから補完関係にあり、戦略面では理想的な組み合わせとみられていた。しかし統合協議の過程では、ガバナンス、経営体制や企業価値評価など複雑な問題が次々と浮上した。特に最後まで交渉を難航させる要因となったのが、プレステージメイクアップブランド「シャーロット ティルブリー」をめぐる契約問題だった。

プーチは2020年、「シャーロット ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」を推定12億ポンド(約2581億円)で買収したが、創業者でありメイクアップアーティストのシャーロット・ティルブリー氏は現在も21.5%の株式を保有している。契約上、プーチは31年までに残る持ち分を取得して完全子会社化する予定だったが、ティルブリー氏には保有株式を一括売却できる権利も与えられている。5月中旬、スペインの経済紙「エクスパンシオン(Expansion)」は、ティルブリー氏が世界有数の国際的な金融財閥ロスチャイルドをアドバイザーに起用し、プーチとの契約見直し交渉を進めていると報じた。より有利な条件を求めるとともに、31年を待たずにブランドから離脱する可能性も模索していたという。24年にプーチが追加取得した株式の評価額から逆算すると、ティルブリー氏が保有する21.5%の価値は約8億5000万ユーロ(約1572億円)に達する。業界関係者によれば、この潜在的な支払い負担をエスティ ローダー側が受け入れなかったことが、交渉決裂の大きな要因になった。ある関係者は米「WWD」に対し、「彼女は今でも事業にとって極めて重要であり、自分が強い交渉力を持っていることを理解していた」と語っている。

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