ファッション

“ビームス”のタイトルをあえて外した「コーリング」、同名のウエアブランド誕生でプロジェクト本格始動

ビームスのプロジェクト「コーリング(CALLING)」が本格始動する。

「コーリング」は2020年、「コーリング ビームス クラフツインザメイキング(CALLING BEAMS CRAFTS IN THE MAKING)」としてスタートした。“呼ばれる”のほか、“天職”という意味があるCallingに「世界中の天職を持つ人たちとの出会いからプロダクトを生み出したい」と思いを込めた。ビームスや帝国ホテルの公式EC、ポップアップが主な販路。

クリエイティブ・ディレクターを務めるのは、長年ディレクターやバイヤーとして活躍する佐藤幸子さん。1995年にビームスに入社し、生活雑貨レーベル(当時はアクセサリーがメインだった)「ビーピーアール ビームス(BPR BEAMS)」やウィメンズレーベル「レイ ビームス(RAY BEAMS)」でバイヤーとしてキャリアを重ねた。その後ライフスタイルレーベル「ビームス プラネッツ(BEAMS PLANETS)」で12年間ディレクターとして舵を取り、世界中のプロダクトをそのストーリーと共に届けた。「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」もそこで販売していた。

「ビームス プラネッツ」ディレクターと「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」クリエイティブ・ディレクター。しばらく二足の草鞋で歩んできたが、今回「ビームス プラネッツ」から離れることになった。「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」に専念できるようになった今、「コーリング」に改名。プロジェクトの本格始動を発表した。

「なんかこれずっと着ているんだよね」を目指して

「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」では、民芸にフォーカスしていた。そもそも久留米絣を後世に残すプロジェクトを実施すると知った佐藤さんが、企画書を提出して立ち上がったのが「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」内のブランドの1つ「カスリ」だった。こうして久留米絣をアートのようにファッションに落とし込む「カスリ(CATHRI)」が誕生。コレクションを発表したところ、次は佐賀県庁から「肥前の陶磁器を用いて何かできないか」と持ち掛けられた。有田焼や伊万里焼などを用いたアクセサリーブランド「ヒゼン ジュエリー(HIZEN JEWELRY)」、さらに兵庫県産のレザーブランド「ヒョウゴレザー(HYOGO LEATHER)」が生まれた。今回、このラインアップにプロジェクトと同じ名前のオリジナルウエアブランド「コーリング」を加える。

「コーリング ビームス クラフツインザメイキング」時代は、「その人たちのために作らなきゃ」「その人の素材を生かさなきゃ」と常に相手のことを考えていたそう。一方「コーリング」は何より自分の感性を大切にした。刺しゅうアーティストKENDAIのオリジナルプリントを大胆に施したシルクちりめんのセットアップや、肌触りの良い布帛見えするカットソーワンピース、ベアトップワンピースとしても着られるリバーシブルのチュールスカート──まるで自分のクローゼットをのぞいたような仕上がりだと自信を深める。

「でも私はデザイナーじゃない」と語る佐藤さん。「私が長けているのは、モノ作りをする人の一番良いところを引き出すこと」。そこには、フォトグラファーやPR、バックオフィスのメンバーも含まれている。関わる人全てが発言権を持って「コーリング」を作り上げているそう。「ディレクターだけがおいしいと感じることがあった。みんなファッション業界に憧れて入ってきたのにディレクターだけにフォーカスが当たっていて。(中略)だから私は(その道の)プロが言うのだからそれが正しいんだろうなというスタンス。お客さまに対しても『服を作りました。こう着てね』ではなく、『服を作りました。着方を見つけてね』というスタンス」。メインビジュアルのモデルに似た人、もしくは佐藤さんに憧れている人だけが納得する服ではない。手に取る誰もが似合う、そしてそれぞれの着方を見つけられる──そんな服が佐藤さんが目指す“数十年後も愛される服”に育つのだろう。「『なんかこれだけずっと着ているんだよね』。私たちの服もそんな風になったらいいな」。

“ビームス”のタイトルを外すことで出てくるビームスらしさ

「コーリング」の公式ECを開くと、プロダクトより先にイメージカットが出てくる。「まずはゆっくりしてもらおうと思って。一回“早いファッション”を辞めたかった」。イメージカットからは、アメリカンカジュアルな「ビームス」は感じられない。「これまでは“ビームス”とタイトルが付いていたから、どうしても『ビームスとしてどうすべきか』と考えることがあった。でも、今回“ビームス”が取れた。もしかしたらビームスを知っている人は、らしくないと感じるかも。でも、私たちは新しいことをして大きくなってきた。新しいことをすることが巡り巡ってビームスの未来を作る」。

4月17日まで代官山SPACE Rでポップアップを開催している。今が見頃の八重桜をくぐった先、ひっそりと佇む古民家で、新生「コーリング」をお披露目している。

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