セレクトショップ「ステュディオス(STUDIOUS)」などを運営するTOKYO BASEが好調だ。2026年1月期の連結業績は、売上高が前期比17.5%増の237億円となり、過去最高を更新した。次の成長の柱として仕掛けるのが、この春に始動した新セレクト業態「キー タイムズ(KEY TIMEZ)」だ。
同社はこれまで、モード市場を主戦場としてきたが、今回は初の本格的なカジュアル業態への挑戦となる。谷正人最高経営責任者は3月に開いた決算会見で、「レッドオーシャンでの戦いになるが、会社としてようやく挑戦できる基盤が整った。ゆくゆくは『ステュディオス』を超えるような事業に育てていきたい」と話し、将来的には年間売上高100億円規模への成長を目指す考えだ。
3月に表参道ヒルズにメンズ店とウィメンズ店、ルミネ新宿2にメンズ・ウィメンズ複合店(198平方メートル)、グランフロント大阪(360平方メートル)を出店し、夏にはなんばパークスと香港にも出店する。大人の男女が立ち寄りやすい立地を選び、新たな顧客層との接点を狙う。
語りどころのあるカジュアルで勝負
ルミネ新宿店の店内は、別荘をイメージし、木の温もりや柔らかな照明、余白を生かした設計で、アットホームな空間に仕上げた。駅ビルの利便性を備えながら、慌ただしさを感じさせない落ち着いた売り場作りを意識したという。
商品ラインアップは、既存業態で扱ってきたブランドを含むものの、編集方針を明確に変えた。同事業を統括する小林陽平部長は、「既存のお客さまの声はあえて追わず、これから開拓したい30〜40代の大人の男女が何を求めているのか、リサーチを徹底した」と話す。その中で見えてきた勝算は、「語りどころのあるカジュアル」だ。「モードでは、感度が上がるほどデザインが尖っていく。一方、大人のカジュアル市場では、シンプルでオーセンティックなものほど支持される点が大きく違う」と分析。
例えばメンズでは、カシミヤ専業ブランド「ボーディ(BODHI)」や、素材やシルエットに定評のある「ブラームス(BLURHMS)」など、一見ベーシックでも品質や作りに強みを持つブランドをそろえた。
そのほかの例として挙げるのが、「テーラー東洋」のスカジャンだ。前身の港商商会は、戦後まもなく米兵向けの土産物としてスーベニアジャケットを考案した、“スカジャンの生みの親”として知られる存在。「キータイムズ」では、その原型を忠実に再現したアイテムを扱う。価格は7万円〜。小林部長は「背景ストーリーや歴史も付加価値と考える。今の時代、もっと安いスカジャンを作ることもできるが、本物の目線で、語って売れる業態にしたい」と話す。
カバンやアクセサリーなど雑貨類も同じ目線でセレクトし、取り扱いの珍しい「ポーター(PORTER)」の“クラッグ”シリーズなどを目玉商品とした。「価格は7万円台と決して安くはないが、こだわりを語れば、お客さまは『そうだよね』と納得して購入してくださる。それを伝えられる接客力のあるスタッフもそろえた」。
商品構成は仕入れ約8割、オリジナル約2割で構成する。オリジナル商品の価格帯は、ジャケット・ブルゾン3万5000円〜6万円円、コート5万円〜7万円、パンツ2万円〜4万円、ニット1万8000円〜3万円など。
「ここでしか出合えないこだわりの商品をそろえ、セレクトショップの本来の楽しみをお客さまに伝えていきたい」と小林部長。国内外のカジュアル市場で販路を広げ、事業ポートフォリオの拡充につなげる。