プーマ(PUMA)の2025年12月期決算は、売上高が前期比13.1%減の72億9620万ユーロ(約1兆3352億円)、EBIT(利払前・税引前利益)は前年の5億4870万ユーロ(約1004億円)の黒字から3億5720万ユーロ(約653億円)の赤字となった。なお、コスト削減策やのれんの減損などによる特別損失を除いた調整後EBITは1億6560万ユーロ(約303億円)の赤字だった。純損益は同じく2億8160万ユーロ(約515億円)の黒字から6億4550万ユーロ(約1181億円)の赤字に転落。アナリスト予想よりやや小幅だったものの、同社にとってこれまでで最大級の赤字額となった。
地域別での売上高は、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が同9.6%減の31億4320万ユーロ(約5752億円)、南北アメリカは同17.9%減の25億5820万ユーロ(約4681億円)、アジア太平洋地域は同11.7%減の15億9470万ユーロ(約2918億円)。いずれも各地域の最大市場である欧州、北米、中国が不調だった。
部門別で見ると、主力のフットウエアの売上高が同13.1%減の41億1380万ユーロ(約7582億円)、アパレルは同13.9%減の23億2850万ユーロ(約4261億円)、アクセサリーは同11.1%減の8億5390万ユーロ(約1562億円)と全てのカテゴリーで減収に。販売チャネル別では、卸が同16.7%減の49億3500万ユーロ(約9031億円)、小売りは同2.7%減の23億6110万ユーロ(約4320億円)だった。
「25年はリセットの年」とCEO
25年7月に就任したアーサー・ホールド(Arthur Hoeld)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「25年はリセットの年だった。『プーマ』を世界トップ3に入る、業界平均を超える成長率のスポーツブランドに戻し、中期的に健全な利益を上げるようにしたい。そのためにはコマーシャル寄りからパフォーマンス寄りへとシフトし、魅力的な商品やストーリーで消費者を引き付け、適切な販売チャネルを構築する必要がある」と指摘。リポジショニングの一環として、ブランド力を毀損する“好ましくない”卸先を整理し、直営店での値引きを減らしたと説明した。同氏はまた、「オペレーションの効率化やコスト削減に取り組みつつ、ブランドの比類のない可能性を引き出すためのさまざまな施策を導入している。戦略のリセットにコミットしてくれている従業員に心から感謝する」と語った。
組織改革や戦略変更の効果が出るのは27年以降
同社は「より機敏に動くため」の組織改革にも取り組んでおり、欧州にあった7カ所の支社は3カ所に集約。マーケティング、市場進出戦略、製造戦略などのチームも合理化を進めている。これに伴い、26年末までに本社でおよそ1400人の人員削減を行う予定で、すでに800人程度を解雇している。同氏は、「こうした施策の成果が出始め、成長軌道に戻れるのは27年もしくはそれ以降になるだろう。商品構成もかなり絞り込んだので、27年春夏シーズンにはより研ぎ澄まされた、魅力的なラインアップとなっているはずだ」と述べた。なお、業績低迷を受け、同社は25年度は無配当とすることを5月の株主総会で提案する見込み。また、26年は3~6%の減収、EBITは引き続き赤字となる見通しだという。
アンタが筆頭株主となった影響は?
1月27日には、中国のスポーツ用品大手アンタ・スポーツ(ANTA SPORTS以下、アンタ)がケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長一族の投資会社であるアルテミス(ARTEMIS)から、プーマの普通株式約4300万株を15億550万ユーロ(約2755億円)で取得することに合意。これはプーマの発行済株式のおよそ29.06%にあたり、アンタはプーマの筆頭株主となった。
アンタは中国市場で、ナイキ(NIKE)とアディダス(ADIDAS)に次いで3位の規模。主に直営店や自社ECを通じて販売しており、卸の割合は低い。このため、同市場における「プーマ」の売り上げが短期的に減少する可能性があるとしつつも「判断するには時期尚早だ」とホールド新会長兼CEOは述べた。