米ブルームバーグ(BLOOMBERG)は8月25日、情報筋の話として、ケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族の投資会社であるアルテミス(ARTEMIS)が、保有する「プーマ(PUMA)」の株式29%の売却を検討していると報じた。アドバイザーと協議を進めつつ、買い手候補として中国のスポーツ用品大手アンタ・スポーツ(ANTA SPORTS)や中国のスポーツブランド「リーニン(LI-NING)」のほか、米国のスポーツウエアメーカーや中東の政府系ファンドと接触しているという。本件について、「プーマ」およびアルテミスからのコメントは得られなかった。
かつてはケリング傘下だった「プーマ」
「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリングは、2007年に「プーマ」の株式の86%を取得。しかし、ラグジュアリー事業に注力するべく、18年にその70%を株主らに分配し手放した。その際、アルテミスは29%を取得し、55%程度が浮動株となった。なお、ケリングはその後、保有する残り16%の株式を20年と21年に5.9%ずつ売却している。
7月にアディダス出身の新CEOが着任
プーマの24年12月期決算は、売上高が前期比2.5%増の88億1720万ユーロ(約1兆5165億円)、EBIT(利払前・税引前利益)は同0.1%増の6億2200万ユーロ(約1069億円)で着地。しかし、25年1~6月期の売上高は前年同期比4.8%減の40億1820万ユーロ(約6911億円)、調整後EBITは同77.4%減の6250万ユーロ(約107億円)と大幅な営業減益に。これを受けて同社は通期の見通しを下方修正し、売上高は2ケタ減、営業損益は赤字に転落する見込みと発表した。
市場はこうした内容を嫌気し、決算を発表した7月25日の株価は前日比16.0%安の20.70ユーロ(約3560円)を付けた。以降も下がり続けていたが、今回の報道を受け、8月25日の終値は同16.0%高の21.73ユーロ(約3737円)となった。
なお、同社は24年10〜12月期(第4四半期)の業績が予想を下回ったことから、25年1月にコスト削減策を導入。4月にはアルネ・フロイント(Arne Freundt)前最高経営責任者(CEO)が退任し、その後任として、アディダス(ADIDAS)で取締役を務めていたアーサー・ホールド(Arthur Hoeld)新会長兼CEOが7月1日付で着任している。