毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月9日号からの抜粋です)
村上:2026年春夏オートクチュールコレは、やっぱりマチュー・ブレイジーの「シャネル(CHANEL)」と、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の「ディオール(DIOR)」に注目が集まりました。ジョナサンからは、オートクチュールや、文化・産業としてのパリのファッションの存続に貢献しようという気概さえ感じました。
藪野:メンズでも全体的に日常のワードローブを軸にした“地に足のついた”コレクションが増える中、ジョナサンはリスクや批判を恐れずに、ファッションの可能性や未来を探求しているように感じました。歴史やアーカイブを重んじつつも、彼が考えているのは、いかにそれを現代的に表現できるか、そしてファッションを楽しめるか。今回もポール・ポワレ(Paul Poiret)のアーカイブドレスを大胆にタンクトップのようなトップスに作り替えてスキニージーンズと合わせたり、クリスチャン・ディオールを象徴する“バー”ジャケットをコンパクトなサイズ感で仕立てたりといった提案が印象的でした。
村上:マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)の「シャネル」は、ツイードの捉え方から見直すことで、逆に「ツイードをそのまま使わなければならない」という、これまでの“当たり前”から解放された印象。アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は祝祭のムードに満ち溢れた例祭服のイメージで、やっぱりオートクチュールになると彼らしい装飾主義はパワフルです。全員ランウエイを背にして“のぞき窓”からコレクションを見る光景はシュールでしたが、「集中して360度、さまざまな角度から見てほしい」という願いは、彼らしいコンテクストを表現した演出になっていたとも思います。「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」はどうでしたか?
これぞクチュール!な「スキャパレリ」
藪野:ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)は今回、「スキャパレリ」として「どうあるべきか」や「どう見えるか」を追求する姿勢から、作り手である自分たちが「どう感じるか」ということに軸足を移したと話していました。結果、「スキャパレリ」らしいシルエットやシュールレアリスムの要素はありながらも、自由にクリエイションを楽しんだことが見て取れました。アトリエの技術を駆使して、自然や動物から得たアイデアを大胆に造形や装飾に落とし込んだ作品群は創造性にあふれ、これぞクチュール!という感じでしたね。
村上:7月はここに「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」、もしかすると「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」が加わります。