今年の第83回「ゴールデン・グローブ賞」のレッドカーペットは、洗練と古き良きシックさが共存するムードに包まれ、ブラックとホワイトがこの夜を象徴するカラーパレットとして存在感を放った。鮮やかな色彩や派手な装飾が主流であったこれまでとは対照的に、明瞭さや均整の取れたバランス、そしてクラフツマンシップに重きを置いた、現代的でありながらも普遍的な美を感じさせるルックが際立った。
ホワイトは、パントン(PANTONE)のカラー・オブ・ザ・イヤーである“クラウド・ダンサー”を思わせる、柔らかく落ち着いたトーンで表現された。アマンダ・サイフリッド(Amanda Seyfried)は、「アトリエ ヴェルサーチェ(ATELIER VERSACE)」によるアイボリーのストラップレスドレスで登場。身体のラインに沿ったすっきりとしたシルエットと胸元のハートネックが、1930年代のハリウッドの上品さを彷ふつとさせた。クレア・デインズ(Claire Danes)は、ザック・ポーゼン(Zac Posen)が手掛けた「ギャップスタジオ(GAPSTUDIO)」のクチュールドレスでウインターホワイトを再解釈。オフホワイトのシルクジャージーに施された繊細なビーズ装飾と大胆に開いた背中のカッティングが強い印象を残した。ジーン・スマート(Jean Smart)も、細やかな刺しゅうがあしらわれた流れるようなホワイトドレスでトレンドを体現し、この色が持つ可能性を強調した。
一方、ブラックは、より多彩な表現がなされた。アリアナ・グランデ(Ariana Grande)は、映画「ウィキッド(Wicked)」のプロモーションで続いていたピンク基調の装いから一転し、「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」のブラックドレスを選択。彫刻的なシルエットと落ち着きのある洗練されたスタイルが、彼女のレッドカーペットにおける新たな章の幕開けを感じさせた。「シャネル(CHANEL)」の新アンバサダーであるアヨ・エデビリ(Ayo Edebiri)は、ブラックベルベットのドレスをまとい、奥行きのある素材感と艶によって、伝統と現代性の調和を巧みに表現。セレーナ・ゴメス(Selena Gomez)も「シャネル」の構築的なシルエットのブラックベルベットドレスで登場し、ホワイトのディテールを効かせることで、オールドハリウッドへのさりげないオマージュを演出した。
“クラウド・ダンサー”を思わせるホワイトと、多彩な解釈がなされたブラック。それらが融合し、レッドカーペットには洗練された統一感のあるルックが並んだ。装飾ではなく、生地、カッティング、そして全体のバランスと調和。2026年の「ゴールデン・グローブ賞」は、“時代を超えるエレガンス”とはシンプルで洗練されたスタイルから生まれるものであることを改めて証明し、ブラックとホワイトが単なる色ではなく、レッドカーペットにおける最も力強い表現手段であることを印象づけた。