帝人と旭化成は、繊維商社子会社の帝人フロンティアと旭化成アドバンスを経営統合することで合意した。2026年10月に帝人フロンティアが旭化成アドバンスを吸収する形で統合。統合後の帝人フロンティアには帝人が80%、旭化成が20%を出資する。帝人フロンティアの売上高は2097億円、旭化成アドバンスは698億円(単体、いずれも2025年3月期)で、単純合算で2795億円になり、繊維商社としては最大規模になる。
帝人フロンティアは中国とタイにポリエステルの製造工場を持つ。ポリエステル繊維のリサイクル技術は世界屈指の水準にあり、リサイクルポリエステル「エコペット」は今年で事業化して30周年を迎えた。一方、旭化成アドバンスは親会社の旭化成が生産する世界オンリーワンのキュプラ「ベンベルグ」糸のほか、ナイロンのエアバッグ用テキスタイル事業も行っている。
帝人と旭化成はいずれも繊維事業をルーツとする名門企業。旭化成はキュプラ「ベンベルグ」、ポリウレタン「ロイカ」などを展開しているが、すでに繊維部門の占める割合が数%程度に低下していた。繊維部門の中核子会社を、繊維の製造から商社機能までを内包し、グローバル展開を行う帝人フロンティアと統合することで、衣料から産業資材までの両分野でシナジーの発揮を狙う。