「エルメス(HERMES)」は、グレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)をメンズプレタポルテ部門の次期クリエイティブ・ディレクターに任命した。10月16日に来年1月での退任を発表したヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)の後任となる。グレースは2027年1月に初のコレクションを披露予定だ。
ロンドン出身のグレースは、英国とジャマイカにルーツを持つ。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校を14年に卒業後、自身の名を冠したブランド「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」を設立した。得意のテーラリングを生かしたメンズウエアで15年にデビューし、その後、ウィメンズウエアにもラインアップを拡大。ブラックカルチャーのグローバルな視覚的かつ知的体験というテーマに基づいて構築したコレクションで高い評価を得ている。また、「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」との長年にわたるコラボレーションでも知られる。16年には「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」でグランプリを受賞。21 年には「CFDA アワード」のインターナショナル・メンズデザイナー・オブ・ザ・イヤー、24 年には英「ファッション・アワード」のブリティッシュ・メンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。これまでもラグジュアリーメゾンのクリエイティブ・ディレクターの座が空くと、度々候補に挙がっていた実力派インディペンデントデザイナーだ。
グレースは発表に際し、「『エルメス』のメンズプレタポルテ部門のクリエイティブ・ディレクターとして任命を受けたことを大変光栄に思っている。これから新たな章の扉を開き、創造力あふれる職人やデザイナーの系譜に加わるということは、私にとって夢のようなこと。この魔法のようなメゾンに私のビジョンを届ける機会を与えてくださったピエール=アレクシィ・デュマとアクセル・デュマに、心からの感謝を伝えたい」とコメントした。
また、「エルメス」のピエール=アレクシス・デュマ(Pierre-Alexis Dumas)=アーティスティック・ディレクターは、「グレースを私たちエルメスのアーティスティック・ディレクター陣の一員に迎えられることを心から嬉しく思う。グレースのファッション、クラフト、文化に対するコンテンポラリーなビジョンは、エルメスのメンズプレタポルテのスタイルを形作る上で大切な役割となり、メゾンの伝統と現代への確固たる視点をひとつに融合してくれるだろう。グレースのアートの領域での実践、情熱と好奇心は、エルメスの創造的思考とアプローチに深く共鳴している。私たちは今、互いに語り合う豊かな対話のスタート地点に立っている」と述べた。