
「ディオティマ(DIOTIMA)」がニューヨーク現地時間の15日、ブランド初となるランウェイ形式でのコレクションを発表した。デザイナーのレイチェル・スコット(Rachel Scott)は、ニューヨーク・ファッション・ウィーク開催の一週間前に「プロエンザ・スクーラー(PROENZA SCHOULER)」のデザイナーに就任。なお、スコットとデザインチームの協業による「プロエンザ・スクーラー」の2026年春夏コレクションは現地時間の同月10日にすでに発表を終えていた。
「ディオティマ」は22年にデビューした比較的若いブランドだが、この4年間で急成長を遂げている。23年にはLVMHプライズのファイナリスト、CFDA VOGUEファッションファンド準優勝、CFDA 年間最優秀新進デザイナー賞受賞、24年にはCFDAファッションアワード「アメリカン・ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。そして今回の「プロエンザ・スクーラー」のデザイナー就任と、注目のデザイナーとなっていることは言うまでもない。
抑圧された歴史への反骨
色彩とクラフトで花開く
カリブ海のカーニバルの歴史から着想を得た今シーズンのテーマは「BACCHANAL」。植民地主義への抵抗から生まれたカーニバルは、抑圧の中で生まれた自己表現の場であり、ダンスや音楽、そしてその装いによって自由を呼び覚ます。色彩を出発点にしたコレクションは、スコットが得意とするジャマイカをはじめとしたカリブの鮮やかな色彩が印象的だった。故郷ジャマイカを彷彿とさせる情熱的なマゼンタ、赤、ライム、パッションフルーツといったエネルギッシュな色が所々に差し込まれ、白と黒のコントラストも力強さを感じさせた。また、トリニダード・トバゴ出身のカーニバル・アーティスト、ピーター・ミンショール(Peter Minshall)の作品に登場する伝統的なキャラクターからも着想を得て、カーニバルを再解釈する。
今シーズンのテーマもしかり、「ディオティマ」では毎シーズン、スコットの故郷ジャマイカのクラフトマンシップにもフォーカスしている。ブランドのアイコン的なクリスタルメッシュニットをはじめ、溶けたスパンコールで縁取られたダスターコート、羽のようにカットされたチュールのスカートやフリンジのバイアストップチュニックなどは、繊細な手仕事からなるもの。カーニバルのダンスで花開くようなカットアウトされたスカートや、モデルの動きに合わせて揺れるフリンジ、デコルテが大きく開いたウエストコートやモーニングコートも軽やかなビスコースやウールギャバジンで仕立てられている。まるで、さまざまな抑圧や制限から解放されたかのように自由で、軽やかだ。テーラードを再解釈し、ニットやフリンジ、チュールなど、多様な素材を合わせることでスタイリングに奥行きを持たせている。
「ディオティマ」でレイチェルは自身のルーツに敬意を表し、そこで生まれる手仕事は、シーズンを重ねるごとに精度を増している。ショーが終わると多くのジャーナリストたちがバックステージに殺到。初のランウェイショーを終え、力強いブランドの新章を印象づけた。