
高保湿スキンケアブランド「カルテHD」を展開するコーセーマルホファーマが、一般用医薬品市場に参入する。乾燥肌治療薬の新ブランド「ヒフニック(HIFUNIC)」を立ち上げ、第2類医薬品のジュレとクリームタイプの2種(各50g、各1705円※編集部調べ)を9月16日に一部のドラッグストアで発売する。0歳から使用可能。

両製品はいずれも、「ヘパリン類似物質」を0.3g含有。ヘパリン類似物質の保水(皮膚バリア機能改善)、抗炎症、結構促進作用により、肌表面の水分が蒸発するのを防ぎ、肌を潤いの状態に保つ。乾皮症や手指のあれなどに効果がある。
ジュレタイプの“メディカルC. HDL”は、むずみずしくベタつかない仕様で、広範囲に塗りやすくさらっとした使用感。クリームタイプの“メディカルC. HDクリーム”は、被覆性に優れた油分が多いクリームが密着・保護し、しっとりとした使用感。ビタミンE誘導体を配合し、血行を促進。肌の修復を助ける。
国内の乾燥肌治療薬はクリームが主流であるが、ジュレタイプの製品は国内初(同社調べ)となる。
「ヒフニック」を立ち上げた背景
コーセーマルホファーマは、コーセーと製薬会社マルホの共同出資で2019年に設立。翌年9月に、マルホが保有する保水有効成分「ヘパリン類似物質HD」を全品に配合した「カルテHD」を立ち上げた。
「カルテHD」は、顔用のスキンケアからボディーケアまで全16種、34SKUをそろえる。シリーズ累計販売は1100万個(20年9月〜25年3月、同社調べ)を突破。取り扱いは1万38店(25年7月時点)に広がり、男女問わず幅広い世代に浸透している。
「カルテHD」が今年5周年を迎える節目に「ヒフニック」を立ち上げる背景には、国内で乾燥肌や肌荒れに悩む推計5500万人の存在がある。うち医療機関を受診するのは3割にとどまり、セルフメディケーション需要の取り込みを狙う。
本田社長は「化粧品では改善できない乾燥症状に悩む人に、まずは試してもらいたい」と話す。“予防”の「カルテHD」に加え、“治療”の「ヒフニック」を並走させることで、未解決の乾燥肌悩みに応える。
マーケティング投資は昨年の4倍以上
乾燥肌治療薬=「ヒフニック」の定着を図る
第2類医薬品は、日常生活に支障をきたす副作用の可能性がある一般用医薬品の分類で、薬剤師もしくは登録販売者が常駐している薬局や店舗でのみ購入できる。このため、適切な情報提供が前提となる。
「ヒフニック」では、使用目的や用量を明確に示すだけでなく、5〜6日間使用しても改善が見られない場合は医師や薬剤師への相談を促す案内など「正しい情報発進を徹底に行う」という。
消費者の混同を防ぐために、スキンケアの「カルテHD」との棲み分けも慎重に訴求する。「ヒフニック」は治療目的の一般用医薬品、「カルテHD」はデイリーケア目的の医薬部外品と明確にポジションは異なる。流通との連携が市場浸透のカギを握る。
「明確にポジションの異なる2ブランドを展開することで、いま(市場で)問題になっている治療とセルフケアの境界線をクリアにし、お客さまが必要なアイテムを適切に選べる環境を整えたい」と述べる。
今後、一般用医薬品としての広告規制を踏まえたコミュニケーションとして、オウンドメディアやマスメディアでプロモーションを展開する計画だ。マーケティング投資は前年比の4倍をかけ、日常で症状に直面した際に「思い出してもらえるブランド」として定着を図る。