ファッション

カルティエと大阪・関西万博「ウーマンズ パビリオン」が開幕 アーダーン元NZ首相もメッセージ


カルティエ(CARTIER)と2025年大阪・関西万博が共催する「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は21日、オープニングセレモニーを開催した。内閣府、経済産業省、および2025年日本国際博覧会協会とのパートナーシップで実現した同パビリオンは、20年ドバイ万博の理念を受け継ぎ、「女性のエンパワメントがいかに持続可能な社会を動かすか」という強いメッセージを発信。万博期間中の6か月間に約150のセッションを開催する予定だ。

音・光・舞踊と融合させた没入型の演出

同日にEXPOホールで開かれたセレモニーは、いわばアートと思想の饗宴。ゲストによる団結と変革に関する力強いメッセージを音・光・舞踊と融合させ、没入型の演出で来場者を鼓舞した。

進行を務めたのは米国ドラマ「SHOGUN 将軍」でアジア人初の主演女優賞を獲得した俳優のアンナ・サワイ(Anna Sawai)。アンナのナビゲートでステージや巨大なモニターにゲストが次々登場しメッセージを送った。冒頭は、詩人・作家でUNHCRサポーターでもあるJ.J.ボラが、自作詩「サムシング ビューティフル」を朗読。難民や女性の置かれた現実を詩と音楽を通じて表現し、夢を見ること、行動することの重要性を訴えた。

開会のあいさつに立った宮地純カルティエ ジャパン プレジデント&CEOは「私たちの世界でジェンダー平等を実現するには、130年以上かかると言われている。そして、私の国、日本は、世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数で146カ国中118位。ウィメンズ・パビリオンを訪れたすべての方に願うのは、何かを感じて持ち帰っていただくこと。一人では成し得ないが、私たちは一人ではない。一緒ならもっと強くなれるし、変化を生み出せる」と穏やかに、力強く語った

アーダーン氏「女性が無数の選択肢から選べる世界へ」

伊東良孝2025年国際博覧会担当国務大臣、高円宮妃久子殿下、リーム・アル・ハーシミ アラブ首長国連邦国際協力担当大臣兼ドバイ国際博覧会2020事務局総裁、黒柳徹子に続いてステージに登壇したのは、ジャシンダ・ケイト・ローレル・アーダーン元ニュージーランド首相だ。首相在任中に産休を取得しながら政治家としてリーダーシップを発揮するなど、多くの女性のロールモデルであるアーダーン氏の登場に会場はどよめいた。

同氏は、ニュージーランドにおける女性の参政権とそこに関わった高祖母を振り返り「その姿を目にして育った私は、性別が政治家になる上で障害になると思ったことが一度もない。彼女たちがガラスの天井を破ったおかげで、私がその後に続くときには、破片はまだ降り注いでいたとしてもすでに道筋が見えていたから」とエピソードを披露。そして「見える範囲にないものは、変えることもできない。だから私たちは少女たちが“自分には何が可能なのか”を問いかけるのではなく、“無数の選択肢の中から何を選ぶか”を考えられるようにしていく必要がある。忘れてはならないのは、変化を起こす女性をエンパワーすることが、重要な一歩だということ」などと語り、パビリオンの意義へとつなげた。

セレモニーのクライマックスは邦楽器と若手ミュージシャンによる共演で「The Flower of the Human Heart」と題した楽曲を通じてジェンダー平等、団結、レジリエンスというテーマを繊細かつ力強く表現した。衣装には、京都の細尾による19色の伝統織物が用いられた。

ヴィニュロン会長「“本当の男”なんて存在しないから」

クロージングに立った、カルティエ カルチャー&フィランソロピー会長のシリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)のあいさつは、男性への語りかけが印象的だった。「男の子は、“本当の男”と見なされないことを恐れる必要はない。なぜなら、“本当の男”なんて存在しないから。いるのは、ただの“男性たち”。私は、すべての男性に呼びかけたい。ジェンダー平等のために行動を起こそう。私たち自身のステレオタイプから自由になるために。そのためには、あらゆる人が意思決定の場につかなければならない」と語りかけた。さらに、「フェミニズムは、男女の闘いではなく、全人類の共通のプロジェクトであり、女性が栄えれば、人類が栄える。そして私たちが共に行動すれば、より良い未来を共に創ることができる」と女性をエンパワメントし、行動することを呼びかけた。

迎賓館で、関西地域の文化を融合したガラディナー

セレモニー後、会場は大阪迎賓館に移され、関西地域の伝統と現代文化が融合したガラディナーが開催された。京都の提灯、和歌山の陶器、関西の植栽が彩る空間で、日本食シェフ・小林圭氏による特別メニューが提供された。さらに、金剛流「藤」の能楽公演では、女性笛手が登場し、男性中心とされがちな舞台芸術に新たな視点を投じる演出が行われた。ディナーの最後には、著名作家ムスィマ・マクフードが「正義、アイデンティティ、レジリエンス」をテーマにしたスピーチを行い、文化と社会をつなぐアートの可能性が示された。

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