サステナビリティ
連載 エディターズレター:SUSTAINABILITY 第8回

「パタゴニアは特別」ではない。「普通」を貫いているだけなのだ

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※この記事は2023年10月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

サステナビリティの話題の中でたびたび事例として挙がり、その独創性ゆえ場が盛り上がるのがパタゴニア(PATAGONIA)の取り組みです。ただパタゴニアの本気度の高さゆえ、その場には「パタゴニアは特別だよ」といった空気が流れがちでもあります。企業のサステナビリティ担当者がパタゴニアを話題にするときは憧れ半分、 「ウチの会社には真似はできない」というため息交じりの諦め半分、です。

パタゴニアは昨年、創業者のイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)が同社を手放したと発表しました。シュイナード一族は、所有する株式を新たに設立した2つの事業体、パタゴニア・パーパス・トラスト(PATAGONIA PURPOSE TRUST)とNPO団体ホールドファスト・コレクティブ(HOLDFAST COLLECTIVE)に譲渡。これにより、パタゴニアの事業に再投資されない資金の全てが地球を守るために配当金として支払われることになりました。つまり地球がステークホルダー。英断です。

「WWDJAPAN」10月30日号はそのパタゴニアを特集しました。前身の登山用具の製造・販売を始めた1957年の創業から現在までをまとめた年表や、各部門のリーダーたちの声、サプライチェーンそれ自体を変えてしまった商品開発の事例など、廣田悠子コントリビューティング・エディターが丁寧に取材を重ね、自分の頭で考え抜いたから完成した渾身の一冊です。パタゴニアの特集を作るのは、とても大変です。なぜなら彼らが「エビデンスのある事実」「本当にやっていること」「本当に思っていること」しかアウトプットしないからです。編集者の悪い習慣で、不明瞭なことを「〜の予定」「〜のようだ」といった曖昧な言葉でごまかしてしまうことがあります。それがパタゴニアには通用しない。思ってないこと、やってないことが「ようだ」で語られることはないからです。だからこの特集に書かれていることは事実のみ。安心してお読みください。

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