ビジネス

日本にも年内上陸予定 「スターバックス」がイタリアでオリーブオイルを加えた新体験コーヒー発表

 ハワード・シュルツ(Howard Schultz)スターバックス(STARBUCKS)暫定最高経営責任者(CEO)がイタリアのエスプレッソに出合って心を奪われたのは、初めてこの国を訪れた1983年のことだという。そして2018年、「スターバックス」はミラノ中心部のドゥオモにほど近い、コルドゥジオ広場の郵便局跡地にイタリア1号店をオープン。だが正直、コーヒーの国のイタリア国民は当初、このニュースを半ば冷めて受け止めていたように思う。

 だが同年9月、当時は世界に3店舗しかなかった焙煎所を併設した新業態の「スターバックス リザーブ ロースタリー」をイタリア1号店としてオープンすると、ミラノ市民は初日から入場を待つ行列を作り、その光景は長期間続いた。イタリアのバールは、一般的には規模が小さい。家族経営の小さなバールで顔馴染みの近所の人々に軽く挨拶を交わしつつ、二口ほどで飲み干すエスプレッソを振る舞うのが一般的だ。「スターバックス」の、しかも「リザーブ・ロースタリー」の、太い金属の管が蛇のように天井を走り、長いカウンターが広大な空間に君臨する工場のような風景は、バールでエスプレッソと店主との会話を楽しんできたイタリア国民には、どのように映るのだろう?人々の関心は当初、そこにあったと思う。

 「スターバックス」の店舗数は現在、世界各地に3万店以上。日本だけでも1792店を数えるという。一方のイタリアは、いまだ20数件と流石に少ない。だがシュルツ暫定CEOがイタリアのバールの店主と異なるのは、伝統のエスプレッソを延々と入れ続けるのみならず、時折、新型の飲み物を発明するところだ。

 今回発表したのは、コールドプレスしたパルタナのエクストラ・バージン・オリーブオイルをテーブルスプーン一杯、15mLほど加えてシェイクした「オリアート アイス シェイクン エスプレッソ」などだ。イタリア南部のシチリア人は、毎朝コーヒーの後にスプーン一杯のオリーブオイルを舐めるという習慣を持っている。そんな習慣を真似した時に閃いたアイデアという。

 開発チームは、即座に研究に取り組んだ。その結果、シチリア島のパルタナ産の高品質オリーブ由来のエクストラ・バージン・オリーブオイルは、「スターバックス」のアラビカ豆との相性が良いことが判明。この飲み物を「オリアート」と命名した。ラテン語の「オリーブ」と、「生命を吹きこむ」という意味の単語からなる造語だ。

 オリーブオイルの芳香とちょっとした苦味は、コーヒーと一体となって、しっとりと膨らんだ味わいを成す。いかにオリーブオイルとコーヒーを完璧に一体化させるか?それがこの商品の生命だ。「オリアート」では、オーツミルクを使用する。そしてエクストラ・バージン・オリーブオイルは、これを機に一部の他の飲み物でも追加するカスタマイズが可能になった。

 ミラノの「スターバックス リザーブ ロースタリー」では、カフェラテのほか、そこにさまざまなフレーバーのシロップを加えたりオレンジピールを添えたりしたアイス コルタード、ゴールデンフォーム コールドブリュー、ディコンストラクティッド、ゴールデンフォーム エスプレッソ マティーニという計5種類の「オリアート」を販売する。これらの新製品は、春頃にはアメリカ、年内には日本、中東、そして英国でも発売予定とのこと。オリーブオイルを飲む習慣のない日本の人々の反応は、今から大変興味深い。

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