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若者を中心に起こるミラノの食革命

 世界でも有数のファッション都市であり、食の街であるミラノに新たな食の革命が起こっている。インターネットが普及し、各種格安チケットにまつわる情報が飛び交うようになって、それまで好んで国内に閉じこもっていたイタリア人も、頻繁に海外を旅するようになった。それにより食についての直接情報が増え、異文化の食事に接する機会が拡大。イタリア料理一辺倒だった食生活は大きく変化した。

 2015年の食をテーマにしたミラノ万博は、その傾向に拍車をかけた。若者のみならず、海外には全く関心のなかった中高年も異なる食文化の存在に触れ、弾けるように外国料理のレストランを探すようになったのである。街中にはすでにシリア、ベトナム、ペルー、日本、韓国、ブラジル、タイ、インド料理などのレストランが点在。特にダイエットと寿司・刺身とはうまく結びついて、「寿司屋=日本食レストラン」と短絡化し、中国人も、ブラジル人も、こぞって寿司屋を開業した。寿司で痩せた人、痩せようとする人の数は今なお、少なくない。

 食事は自宅で調理して、という従来の習慣も変化してきた。各国料理店の登場によって外食やそれらの宅配サービスに依存する人々の数が増えてきていることも確かだ。若者はジムに通い、正しい適量の食事を心掛け体型維持に努めているが、最近のラーメンや餃子、ポケ(ごま油と醤油漬けのマグロやアボカド、トマトをご飯の上にのせた丼)、テイクアウトの寿司、ピザ、ピアディーナ(生ハムや野菜、チーズを挟んだ無酵母パン)、ハンバーガーなど、ファストフードの人気上昇という現実との間には大きな矛盾がある。

本物の食こそがオシャレ ファッションが提案する食は下火

 ミラノには20年位前から、ファッションブランドが経営するレストランやカフェが市中に登場し始めた。「ディースクエアード(DSQUARED2)」の“チェレジオ7(CERESIO7)”、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のレストラン、「トラサルディ(TRUSSARDI)」のカフェレストラン、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のレストランとカフェ。「プラダ(PRADA)」は菓子店のマルケージ(MARCHESI)を買収し、2年前にタワー(Torre)内にレストランもオープン。ミシュランのシェフを信ずる人も増えた。

 若者たちは一時、プール付きのテラスを持つ“チェレジオ7”やパリ風の雰囲気を持つマルケージに好んで通ったが、異国情緒が心踊る体験となる各国料理のレストランが巷に溢れ、ファッションブランドのレストランは下火になりつつある。

 ミラノにオープンしたばかりの「ユニクロ(UNIQLO)」で珍しいグラフィックのTシャツを山のように買う人が溢れているのと同様に、人気のレストランは飾り気のないところが多い。バルバッソ(Bar Basso)やドライ(Dry)といったアペリティフ(食前酒)の店や、ベトナム料理のサイゴン(Saigon)やベトナムモナムール(VietnaMonAmour)、日本料理のJ’sHIRO,イタリア料理のラッテリア(La Latteria)、ラーメンのカザラーメン、中華料理のマンダリン2(Mandarin 2)などは常に、若者で賑わっている。