1. ロンドンメンズトレンドVol.2 半魚人まで巻き込むアヴァンギャルドなダイバーシティー

ロンドンメンズトレンドVol.2 半魚人まで巻き込むアヴァンギャルドなダイバーシティー

コラム コレクション・レポート

2019/1/10 (THU) 03:00

 2019-20年秋冬のコレクションから、トレンドになりそうなキーワードと、そんなムードが芽生えた時代背景、デザイナーの深層心理などを考える。初回から3回は、コレクション・サーキットの先陣を切ったロンドンメンズから、若手デザイナーの思いにフォーカスした。

伝統的と思いきやダイバーシティーな街、ロンドン

 もはやトレンドという言葉では語れないダイバーシティー(多様性)やインクルーシブ(包括性)の概念は、2019-20年秋冬のロンドンメンズでも健在だ。街に住む人の約半数が外国人と言われるロンドン。紳士(Gentleman)・淑女(Lady)の街というイメージが強いが、地下鉄はジェンダーを特定する「Ladies and Gentlemen」というあいさつを撤廃するほど、ダイバーシティーの意識が高い。頭脳派のアヴァンギャルドが台頭するロンドンメンズにおけるダイバーシティーの表現は、人種や年齢、性別、体型、思想などの次元を超越している。

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急先鋒のランウエイにはチューバッカや半魚人!?

 ダイバーシティーの急先鋒は、中国人デザイナーによる「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」だ。正直ぶっ飛びすぎて理解不能なクリエイションも多いが、そのせいかカルト的な人気を獲得。デビュー当初は空席が目立っていたショー会場もゲストが増え、ショーの前後にはパパラッチが襲来。彼らがカメラに収めたくなるほど、スペシャルなゲストが増えている証拠だ。日本の取り扱い店舗も少しずつ増えている。

 化繊混の密度の高い糸で編んだ純白のリブニットでスタートした19-20年秋冬コレクションは、次第にそのニットが漂わせる近未来のムードを色濃くする。まずは双子のモデルにほとんど同じ洋服を着せることでクローンを想起させると、お次は全身毛むくじゃらのチューバッカ(!?)が登場。同じ色の洋服を着た人間役のモデルと行進する。チューバッカは、白バージョンも出現。彼(!?)は人間の赤ちゃんを抱きかかえ、ランウエイを一周した。そして終盤は、ヒレのついた全身レザーの半魚人スタイル。ここまで来ると、「悪ふざけが過ぎる」と思う人もいるだろうか?中国人デザイナーのダイバーシティーは、もはや地球人だけにとどまらない。

READ MORE 2 / 3 シンプルなTシャツ&スエットこそ、誰もが自分らしく着られる服


シンプルなTシャツ&スエットこそ、誰もが自分らしく着られる服

 幾分リアルだったのは、「アート スクール(ART SCHOOL)」。生産背景も乏しく、クリエイションは発展途上な新人のキーアイテムは、シンプルなTシャツとスエット。それを切り裂き、染め、継ぎはぎすることであらゆる体型、あらゆるスタイルにマッチするアイテムに変換する。細身のメンズには脱構築を極めたトップスとして、ふくよかな女性にはセクシーなドレスのレイヤードアイテムとして、そしてトランスベスタイト(異なるジェンダーにおいて一般的な服装を着る人たちのこと。多くの場合は、女性らしい服装を好む男性を指す)にはジャカードラメのペンシルスカートに合わせるドレスアイテムとしてTシャツを選んだ。ランウエイにはさまざまな人種、性別、年齢、体型のモデルが登場。チック症(体の一部が突発的で不規則な高速動作を繰り返す症状のこと)の女性も現れた。フィナーレの痙攣には眉をしかめるが、あらゆるモデルが集い、肌を重ね合うシーンは、ダイバーシティーを象徴する。

 「チャールズ ジェフリー ラバーボーイ(CHARLES JEFFREY LOVERBOY)」は、戯曲「ピーターパン」が着想源。もともと男性モデルにスカートを履かせるなどダイバーシティーに富んだブランドではあるが、今シーズンは悪役風のツノが生えたフーディー姿のモデルなども現れ、善悪さえ入り乱れる。まるでミュージカルなショーのフィナーレには、皆が手を取り合い、踊り、騒いだ。

「アレックス ムリンズ」2019-20年秋冬ロンドン・メンズ・コレクション

 上のリンクは、「ウィメンズ」を「メンズ」と間違えているワケではない。「アレックス ムリンズ(ALEX MULLINS)」は、メンズとして作ったアイテムを女性モデルに着せ、ランウエイに送り出した。フォーマルなジャケットからデニムの上下、中綿入りのバイカーズブルゾン、スポーツまでさまざまな“メンズスタイル”が現れるが、どれにも違和感は覚えない。もはや、誰が、何を着てもいい時代なのだ。

READ MORE 3 / 3 もはやメンズメイクは当たり前


もはやメンズメイクは当たり前

 ダイバーシティーの表現方法は、洋服だけに止まらない。メイクは、「本人らしさ」を表現する手段として、ショー会場のあちこちで広がっている。「エドワード クラッチリー(EDWARD CRUTCHLEY)」や「コットワイラー(COTTWEILER)」は、男性モデルにもリップやアイメイクをオン。血の通っていない人間風に見せるためのカラーコンタクトも散見できた。

 来場者にも全身メイクが散見できるせいか、真っ赤な唇やラメ入りアイホールの男性くらいでは全く驚かなくなった。

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