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「どうしたらコレクションのヘアメイクアーティストになれるの?」 日本人アーティストを直撃してアナタの疑問にNYから答えますVol.4

 今回は、「どうしたらコレクションのヘア&メイクアップアーティストになれるの?」という質問にお答えしようと思います。ファッションとビューティが好きで、ランウエイショーにも興味があれば、一度はコレクションのバックステージに携わりたい、覗き見したいと思ったことがある人も多いのではないでしょうか?バックステージは、世界トップクラスのヘア、メイク、ネイルアーティストと仕事ができる貴重な機会です。

 では、どうしたらビューティ・アーティストとしてバックステージに携わることができるのか?お答えしたいところですが、私はアーティストではなく記者なので、今回は実際バックステージで活躍している日本人アーティストに突撃インタビューしてみました。「トリー バーチ(TORY BURCH)」のショーは、資生堂が協賛。日本人アーティストが多くいらっしゃるので、「どうしたらバックステージ・アーティストになれるの?」と聞いてみました。

 まずは資生堂のビューティクリエーションセンターに所属する渋沢知美ヘアメイクアップアーティストを紹介します。渋沢さんは2010年に資生堂入社。宣伝広告や広報活動のほか、ニューヨークとパリのコレクションで活躍してきました。彼女に直接聞いてみたので、動画をご覧ください。(バックステージで撮った動画のため、ガヤガヤしていたり、途中で人が通ったりします。ご了承ください!)

 続いて、同じく資生堂の伊藤礼子ヘアメイクアップアーティストにお話を聞きました。資生堂美容専門学校を卒業後、02年に資生堂に入社。現在は「SHISEIDO」ブランド担当でメイクアップアイテムの商品開発、広告撮影、トレーニングなど、アジアを中心に世界的で活躍されています。 ヘルシーだけどエッジの効いたメイクが得意で、コレクションシーズンにはメイクアップアーティストとしてリードを務めるなど、国内外のデザイナーから人気です。

 彼女は、「美容学校を出てから美容師を経て、メイクアップやヘアアーティストの道に進むのが一般的かなと思います。今は美容師免許を持っていなくともフリーのアーティストのアシスタントを務め、3〜4年間の修行を積んで独立される方も多いですね。コレクションのバックステージに入りたい場合は、やはりバックステージのアーティストにつくのが確実な道です」と話します。自身のキャリアについては「美容学校に2年間通い、美容師免許を取得してから6年ほどサロンワークを行いました。その傍ヘアメイクのお手伝いをして、ヘアメイクアップアーティストとしてコレクションや撮影に携わるようになりました。ショーに対する憧れが強く、バックステージに入りたいという思いもあって、コレクションを協賛している資生堂に入社しました。ショーに初めて入ったのは、24歳のころ。その時はモデルの爪にネイルを塗ったり、モデルをケアしたりするだけ。コツコツと経験を積みました」と続けます。「日本人でもバックステージで活躍するチャンスはありますか?」と聞くと「全然あります!今はSNSもあるし、コネクションの作り方も多様です。必ず何年間か修行しなければならない、なんて決まりもないし、本人のコミュニケーション力と熱い思いがあれば、チャンスはたくさんあると思います」と勇気づけてくれました。

 今度はフリーで活躍するKUMAメイクアップアーティストです。「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」メイクアップディレクターのMIZUヘアメイクアップアーティストのアシスタントを経て、ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと各都市のコレクションでバックステージに参加。現在は広告やエディトリアル、ショーなどで活躍しています。彼も動画インタビューをしたので、ご覧ください。

 ダイアン・ケンダル(Diane Kendal)のチームで活躍中の山内啓人メイクアップアーティストは、「昔から海外でメイクをしたいという思いがあり、9年前に渡米を決断。ダイアンのチームに入りたくて、ひたすらメールを送ってアピールしました。その時は別のアーティストのアシスタントだったのですが、その方の所属エージェントが昔ダイアンのエージェントを務めていたこともあり、プッシュをしてもらい、チームに入ることができました。今は撮影のアシスタントもしています」と言います。

 どの仕事もそうですが、やはり積極的に色々な人にアプローチをし、コネクションを作ることが大事みたいです。今は仕事の依頼がSNSのダイレクトメールで届いたり、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のようにインスタグラムで発見されて海外デビューなんてケースもあるので、SNSは大きな武器の1つかもしれません。

 皆さんが一番心配している「英語はできないとダメですか?」という質問は、もちろんできれば有利なのは当たり前ですが、今回お話を伺った日本人アーティストは、全く英語ができないまま渡米された方がほとんどでした。現地に行けば、自然と英語力は身につくのでしょう。それよりも熱意とアピール力の方が大事な気がします。

 私もバックステージ取材を始めて2年強ですが、本当に多くの日本人アーティストが活躍しています。そして資生堂やコーセー、フローフシ(UZU)、「RMK」など、今は日本のメーカーの協賛も増えています。もちろん、「NARS」「M・A・C」「アヴェダ(AVEDA)」「エッシー(ESSIE)」などの外資系ブランドが協賛するバックステージでも、日本人アーティストを見かけます。「M・A・C」の池田ハリス留美子シニアアーティストは、店頭の美容部員からコレクションに参加するトップアーティストになりました。美容部員からコレクションアーティストに進む道だってあるのです。

 ファッションショーに行くとついデザイナーに目を向けがちですが、ビューティ担当記者としていつも思うのは、一つのコレクションを作り上げるには、本当に大勢の人の力が必要なこと。そして表舞台には出ないものの、バックステージで活躍されているアーティストは、皆同じ目標に向かって懸命に働きつつ、とても楽しそうです。言葉にはしないものの、バックステージのバタバタした雰囲気の中でも、プロフェッショナルとしての熱意は伝わります。そんな皆さんの輝いている姿を見て、私も活力をもらうことさえあります。読者の皆さんも、熱意を持って、チャレンジしてほしいと思います。